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WORKSTORYAWARD2018

これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2018」の受賞ストーリー、
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"モーレツな創業期"から"誰もがのびのび力を発揮できる組織"へ!変革のカギを探る

株式会社ノヴィータ
マーケティングに強いWEB制作会社である株式会社ノヴィータは、2006年に設立。社員はがむしゃらに働いて業績を伸ばし、8年間で20人以上を擁する組織へと成長しました。しかし、このままでは社員が疲弊し、会社の未来も描けない――。そんな危機感を抱いた2代目社長の三好怜子は、企業文化と働き方の改革に乗り出したのです。

創業から勢いよく成長していた会社の裏側で、懸念が浮かび上がる

▲2017年の社員総会で社員に向かってメッセージを送る社長の三好怜子

三好は新卒でノヴィータの前身となる会社に入社。ノヴィータ設立時から営業兼ディレクターとして仕事に打ち込んでいました。創業社長の強いリーダーシップのもと、会社の売り上げは順調に伸び、2013年には社員が20人を超えるまでに。

仕事は個人の裁量が大きく、クライアントからの受注額に応じて給料や賞与がどんどんアップ。しかし、三好には懸念が芽生えていました。

三好 「活気のある会社で仕事はやりがいがありました。でも、仕事が属人化していて、ほかの人とフォローしあう体制がなく、まるで個人事業主の集まり。
それに、多忙な日々が続くなかで、結婚や出産などライフイベントを考えたとき、働き続けられないかもしれない、未来が想像できないなと不安を感じていました」

三好が2013年に海外で結婚式を挙げたときは、1週間仕事をストップしてどうにか乗り切りました。しかし翌年、今度は1カ月入院することになり、さすがに1カ月も仕事を止めるわけにはいかず、初めて社内のメンバーたちに本気のフォローをお願いすることに。

三好 「まわりの人に助けてもらえれば、こんなに安心できるんだと実感し、チームでフォローしあえる体制にしなければと強く思いました」

そうして創業から10年経った2015年、三好が社長のバトンを受け継ぎました。

三好 「学生時代からいつか経営者になりたいと思っていましたが、いざそのチャンスが来たら、なぜ私なのか、何をしたらいいか、私らしいやり方とは——と考えてしまい、前社長と何度も話しあいました。
そして、自分が抱いていた懸念を徐々に解消することに。会社を長く続けていくためには、売り上げの伸びを鈍化させてでも会社をしっかり組織化して、一人ひとりがのびのび働ける環境づくりを優先すべきと考え、思い切って舵を切りました」

企業文化を変えてメンバーが働きやすい環境をつくるため、5つの施策を実行

▲2018年上期社員総会。社員のリクエストもあり来期の計画について共有

三好が社長に就任してから、当社では具体的には5つの施策に取り組んでいます。

ひとつは、2012年から年2回、半期末に行なっている「社員総会」。メンバーが多くなり、経営陣の思いを伝える機会がなかなかなかったため、発信の場としてスタートしました。しかし、当初は欠席者や、途中で居眠りする人もチラホラ――。

三好 「欠席者や寝てしまう人がいるのは、こちらが伝えていることが魅力的じゃないからだろうなあと受け止めていました。
じゃあ、現場のみんなは何を知りたいのだろう。毎回メンバーにどんな話を聞きたいかアンケートを取り、できるだけその内容を反映させるようにすると、少しずつ反応が良くなってきました」

メンバーからは、総会で会社の1年後3年後5年後を知りたいという声が聞かれるようになりました。創業当時は、会社として計画をしっかり立てていませんでしたが、メンバーの声に後押しされるように、会社としても計画を重視。最近の総会では、来期の計画について詳しく話すことが多くなりました。

また、メンバーとしては話を聞くばかりでは退屈だと気付き、2015年から社員総会のなかで「自分のミッションの明確化」を取り入れました。これがふたつ目の施策です。

会社の計画を知ったうえで、自分のミッションを考え言語化し、ワークショップ形式で共有。定期的に目標を立てて振り返る場をつくることで、一人ひとりの仕事に向かう意識も高まってきました。

3つ目として、2015年から月1回続けている「全社参加のLT大会」があります。LTとはLightning Talk(稲妻トーク)の略で、短いプレゼンテーションのこと。自己発信する土壌をつくるとともに、発表の練習としてはじめました。すると、ほかのメンバーがどんな思いで仕事に向かっているのかが分かるように。

メンバーの相互理解が進み、それぞれの強みも見えるようになりました。ここでマネジメントに向いていると感じたメンバーに声をかけて、新たな業務を打診したこともあります。

このほか、月1回の「マネジメント層が参加する研修兼会議」と、「自分の強みの明確化」も行なっています。

少しずつ施策の効果が表れて、一人ひとりが自分らしい働き方を実現

▲2015年、はじめた当初のLT大会の様子

どの施策も、決してスムーズに導入できているわけではありません。「なぜやるんですか?」「忙しいのに」と気乗りしないメンバーも少なからずいて、現場が混乱したり、その場がどんよりとした雰囲気に包まれたこともあります。

三好 「目先の利益や業務効率だけを考えると、施策は不要なことかもしれません。けれど、組織を強くして生き残っていくためには大切なことだと信じて、ひとつずつ一歩ずつ進んできました」

前回より少しでも有意義な内容にするため、メンバーと対話しながら、常に改善しています。LT大会に懐疑的だったメンバーのひとりは、自分が発表したことで周囲に理解されて仕事を進めやすくなったと喜んでくれました。

続けることで確実に理解者が増え、会社をより良くするためにボトムアップの提案も出てくるようになりました。

その代表例が働き方に関するものです。ノヴィータでは、自分らしい働き方の実現も応援しています。遠距離通勤になるため、創業時から「週3社員」の男性がいるなど、働き方には理解のある組織でした。

今でもその考え方は変わりません。フルリモートワーク、在宅勤務、時短勤務、職種転換――。引越しや子育てなど生活環境の変化によって、一般的な会社なら「実現は無理だから辞めるしかない」という状況でも、当社では「どうしたら続けられるか考えよう」とそれぞれの事情に合わせて新しく仕組みを整え、柔軟な働き方をつくり出しているのです。

今では、社員31人中3割ほどが働き方を変えています。

人も会社も社会も幸せになるように“終わりなき旅”は果てしなく続く

▲ノヴィータの行動指針。社員へ浸透させるための働きかけを定期的に行なう
三好 「以前は出産したら働き続けるのが難しいと自分自身も思っていたし、周りにも思われていました。しかし今は働き続ける人が多く、ママだけでなく、パパの中途入社も増えてきました。
試行錯誤が伝わったのか、ここで定年を迎えたいというメンバーの声を聞くこともあり、ビックリするとともにうれしく思いました。縁あって一緒に働いているメンバーは、会社にとってかけがえのない財産。
どんな状況にあっても、一人ひとりが能力を十分に発揮して、いきいきと働き続けられる環境を整えていくつもりです」

2015年には働くママ向けのメディア「LAXIC」(ラシク)を立ち上げ、柔軟な働き方に理解のある会社として社会に認知されてきました。会社の施策についても積極的に発信していたところ、「総会を見学したい」といった声が寄せられ、期末の総会には多くのパートナーの方に参加いただいています。

LT大会では外部の方に参加いただいたこともあります。社員総会やLT大会を自社に取り入れたパートナーもいます。

三好 「自分たちが試行錯誤してきたことが、自社の枠を超えて社会の役に立てるなんて、とても光栄です」

会社をより良くしていくための取り組みは“終わりなき旅”。これからも当社はアップデートを繰り返し、誰もが自らの能力を発揮してのびのびと働ける組織づくりにチャレンジしていきます。

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