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一歩踏み込んだ転職支援で、本質的に社会で活躍する人材を育成──WORXの挑戦

株式会社MAP
株式会社MAPは年間1万人以上の就業支援をする中で、就業自体に不安を感じる若者の多さを実感しています。そこでキャリアの選択肢を最大限広げるため、本質的な社会人スキルを身につけられるWORX事業部を設立しました。今回は事業責任者の高橋 秀誓に迫り、研修を通して若者たちがもたらす成果や、事業が持つ可能性をご紹介します。

転職支援で痛感した、若者への長期的なサポートの必要性

▲WORX事業責任者 高橋 秀誓

若年層向けに人材紹介事業を展開する株式会社MAPでは、これまで企業と求職者の間に立ち、年間で1万人以上の登録者に向けた転職支援をしてきました。

労働人口の減少により人材不足が続き、企業は20〜30代の若手人材の採用に苦戦しています。一方、学歴やキャリアに自信がなく、就職活動へも悩みを抱えている若年無業者は全国で約70万人いるのです。

若手を採用したいけど、未経験者をイチから教育する余裕がない企業と、バックグラウンドに自信がなく正社員としての就業に不安がある若者。高橋は、転職市場に存在するこの“ねじれ”を解消したいと思うようになります。

高橋 「私が提案したのは、若者の教育から携わるという事業モデルです。通常の事業とは逆行するかたちだったため、社内からなかなか賛同を得られませんでした。そこでクライアントを開拓し、育成への想いを伝え、なんとか協力していただける関係者の皆さんと接点をつくっていったんです」

当初は高橋ひとりで進めていましたが、徐々に理解を得て結果も出始め、2018年春にグループ会社として日本若者転職支援センターを設立しました。高橋が中心となって、厚生労働省委託の支援機関やNPO法人などの外部機関と協力しながら、自立・就労支援を行ってきたのです。

しかし若者の支援を続けるうちに痛感したのは、転職支援以上の長期的なサポートの必要性でした……。

また、今の日本では、一度就職すると会社の方針でキャリアが決まり、本当にやりたいことが見つかったときには再出発が難しくなっています。もっと柔軟に、“働きながら自分の適正を探り、キャリアプランを考える”働き方があってもいいのではないか、と高橋は考えるようになります。

さらにこれまでは就業支援をした人たちが、入社後に理想のキャリアパスを描けているのかがわかりませんでした。今後はもう一歩踏み込んだ転職支援もしたいと考え、「本質的に社会で活躍できる人材を育成するプロジェクト」を始動させます。

自分のキャリアは自分で決める。主体性あるチームづくりを心がけて

▲先輩社員の指導のもと行われる電話研修の様子

いろんな仕事(WORK)を掛けあわせ(X)、理想のキャリアをつくる。「WORX事業部」という名のもと、高橋は長期的な転職支援事業をスタートさせました。

高橋 「 WORXではまず就業経験やスキルの少ない転職希望者を、 MAPの社員として雇用します。ビジネスマナーや PC操作などの社会人スキルをあらためて教育し、WORXメンバーはそれぞれのキャリアビジョンに沿った社内外のプロジェクトに参画。就業先の企業で 3〜 5年の就業を得て、『複合的スキル人材』に育成します。
年に複数のキャリア面談もしながら長期的にサポートした後、あらためて転職先を紹介するというしくみです」

研修生になれる条件は、成長したいという強い想いを持っているかどうか。面接を通して当社が判断し、社員として育成します。これまで働いたことがない、アルバイトの経験しかないなど、さまざまなバックグラウンドを持った若者が、キャリアチェンジを機にWORXの門をたたいてくれました。2019年に設立してから、これまで50名のWORXメンバーが入社しています。

高橋 「用意しているコースは、エンジニア、事務、コンサルティングなど合わせて 4つです。 WORXには既存社員の管理部メンバーが 5名在籍しており、一過性のもので終わらせず、現場に出てからも自走して学べる研修体制を整えることを重視しました。
また研修企画チームを設け、選出されたWORXメンバーがリーダーとしてみんなをまとめてコミュニティの活性化を進めていきました。通常の研修に加え、勉強会や交流イベントなどは研修生が主体となって計画してくれます」

WORXに管理部はありますが、“管理者”は不在です。志を高く持ち、自分のキャリアは自分で決めてもらいたい。そのため専任のパートナーとして管理部スタッフは研修生にとことん向き合い、進化を楽しめるチームを構築し続けてきました。

メンバーの自発的な努力により研修チームが活性化

▲入社後の研修では、さまざまなワークを通じてメンバー同士の結束を強めている

情熱を持つメンバーに囲まれて、知識や技術だけではなく、仕事に取り組む姿勢など自己成長を助ける研修が多いこともWORXの特徴です。「身の回りに本気で自分の将来を考えてくれる人に出会えた」「自分と向き合う機会になった」──社内研修を終えたWORXメンバーからは、このような声が挙がりました。

当社が提供できるのは、あくまでもWORXという「場」です。もちろん研修メニューは用意していますが、それ以外に「資格の勉強をもっとしなさい」といった指導は一切していません。しかし当社が想定していた以上に、自発的に努力するメンバーばかりでした。

高橋 「たとえば、現在WORXメンバー同様エンジニアとして外部プロジェクトに就業中の池田は、フリーランスとしてスタートアップ企業の採用支援に携わっていました。その後、エンジニアへのキャリアチェンジに向け日本若者転職支援センターに参画。
私と一緒に WORX事業の立ち上げも担当します。池田は管理部スタッフと、教育制度や研修フローを一緒につくり上げていきました。管理部スタッフとして、かつ未経験でエンジニアを目指し資格取得にも奮闘する姿を、みんなに見せてくれています」

さらに幼少期から言語障害を抱えていたある男性も、WORXメンバーに参加。彼は言葉がどもってしまうためにコミュニケーションがうまく取れず、早期退職を繰り返していました。しかしWORX参加後は研修企画などでは、率先して発言し、主体的に動いています。現在は働くことに対して前向きになり、コミュニケーションもスムーズになりました。

彼自身もまた、自分のような経験を持つ方に対して支援する意欲を強く持ちながら、今はある有名企業のインフラエンジニアとして活躍しています。

転職支援サービス以上に社会貢献性の高い事業へ成長

▲ランチ会で、メンバーやMAPの社員の先輩社員と交流

これまでWORX事業について、当社HPや他媒体でも発信してきました。ブランクの長い若者の支援に関する問題提起をする機会が増え、大きな役割を果たせていると感じています。またメンバーの派遣先の開拓を通じて、育成に理解ある企業との新たな関係を構築できました。

高橋 「『WORXメンバーは、未経験でも意欲がすごくある、覚悟を持って就業されている人が多い』と、どの企業からも言われています。キャリア面談の際に自分自身のゴールをちゃんと決めているので、いい加減に仕事をせずやりきるマインドを形成する研修が効果を発揮しているようです」

今後もただ技術力を高めるのではなく、あくまでも教育機関としてこの事業を大きくしていきたいと考えています。さらに、企業と学校をつなぐ役割を果たすのも目標のひとつです。

高橋 「実際に働いてみなければ、やりたいこともできることも、求められていることもわかりません。でも現状の学校教育では、働くことについて知る機会は多くありません。ならば WORXが『人材開発における専門教育機関』となって、学校と企業、分断されているふたつの世界をつなぐ役割を果たしたいと思います。
できるだけ多くの方が早い段階で天職に近づけるよう、スピードを上げて新しいチャレンジを展開していきたいですね」

従来の人材紹介では就業が難しい若者を社員として迎え入れ、それにより新たな雇用を生み出せました。転職支援サービス以上に、WORXは社会貢献性の高い事業だと自負しています。

若者の可能性を最大限引き出すため、日本で初めての人材育成・キャリア開発における専門教育機関になりたい。そのためには研修・教育スキームのブラッシュアップ、派遣先企業やプロジェクトの開拓など、まだまだやるべきことはたくさんあります。

彼ら彼女らがさまざまなスキルを身につけ、理想のキャリアを形成する最良のパートナーを目指して。WORXは今後も、さらにスピードを加速させていきます。

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