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WORKSTORYAWARD2018

これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2018」の受賞ストーリー、
一次審査通過ストーリーを公開しています。

メンバーの半数以上がインターン! 私たちが学生と働きつづける理由

株式会社キュービック
少子高齢化を背景とした労働者人口の減少に、相対的な労働生産性の低下――。企業にとっていかに優秀な人材を確保するかは喫緊の課題となっています。そんななか"大学生の長期インターンシップ"に活路を見出しているのは、デジタルマーケティング会社のキュービックです。企業に根づいた"インターン文化"とは?

創業期から定着してきた“インターン文化”

▲2018年現在、メンバーの半数以上をインターンが占めている

2006年に創業したキュービックは、看護師向け転職情報サイト「Coconas(ココナス)」や転職に悩む人の「次の一歩」を応援する転職メディア「HOP!」など20ほどの自社メディアを運営し、広告運用やコンテンツマーケティング、サイト開発・制作やコンサルティングなど、クライアントの包括的なデジタルマーケティングを支援する事業をおこなっています。

デジタルマーケティングという変化の激しい事業領域をコアに置くキュービックですが、企業として特徴的なのはそのメンバー構成。

2018年12月現在、310名ほどいるメンバー(正社員100名強)のうち、約160名が学生インターン。実に半数以上が大学で学びながら、会社で働いているのです。

「当社にはもともと“インターン文化”があって、インターンたちと共に会社を成長させてきた歴史がある」と語るのは、ピープルエクスペリエンスオフィス タレントアクイジションチームの荒木珠里亜です。

荒木は自身もインターンとして入社し、インターン時代に“インターン採用チーム”の立ち上げを経験。新卒入社2年目の2018年現在も中心となって採用に取り組んでいます。

創業からしばらくは10名に満たなかった社員数に大きな変化があったのは、2011年。代表取締役の世一英仁が塾講師時代の教え子に声をかけるなどして、6名のインターンを採用したのです。

以降、積極的にインターン採用する方針を打ち出し、知人経由でリファラル採用をおこなってきました。大学1年生でインターンとなり、4年間勤めた後そのまま社員として入社、新卒時点で“社歴5年目”の即戦力となる社員も。

そうして常に“社員とインターンがチームとしてビジネスを進める体制”が、企業文化として定着してきたのです。

荒木 「私自身インターンとして働いていて、自分で考えて提案をして、やったことが直接結果として返ってくることに大きなやりがいを感じていました。
そんななか、会社として事業を拡大していく方向性が決まりました。そしてインターンの可能性を信じて、本気で一緒に働く文化をつくっていこうと、“インターン採用チーム”を立ち上げることになったんです」

“当事者目線”で優秀なインターンを採用

▲荒木(写真左)は、前例のないなかでインターン採用チームをけん引してきた。そのノウハウは今のインターン採用にも生きている

インターン採用チームが立ち上げられた2016年当時、インターンは90名程度。

そこから数値目標を設定した採用計画がスタートしました。その採用プロセスの立案から運用までを一手に担うことになったのが、当時大学4年生だった荒木と大学2年生のインターン。

つまり「学生インターンに学生インターンの採用を任せる」ことになったのです。

それまでのように部署ごとに学生を探して接点を持ち、面接するというリファラル採用だけでは、目標数を達成することは難しい――。

そこで、採用プロセスを採用チームに集約し、媒体とエージェント、リファラルを3本柱としてそれぞれ戦術を立てて運用し、1次面接まで一貫して担当することにしました。

荒木 「なるべく多くの人に会おうと説明会を開いたこともあったのですが、学生のライフスタイルにはあまり合いませんでした。
それよりも一人ひとりとしっかり対話をし、学生たちがインターンに何を求めているのか、どんな悩みを抱えているのかをしっかり聴いたうえで、私たちが提供できる価値や体験を伝えていくことがいちばん効果的でした。
私たち自身、当事者として話すことができますし、本気で向き合うからこそ場合によってはほかの会社や手段を勧めることもあります」

どんな部署や業務を志望しているのか、どんなことが向いているのか、どんな学びを得たいのか。1次面接の段階で学生たちのニーズをヒアリングし、ミスマッチを極力減らそうとしているのです。

また、各部署にインターンの受け入れを提案する際も、このチームにはどんな人が必要なのか、その人にはどんな役割を期待しているのかなどを丁寧に擦り合わせることで、現場と採用チームの目線をそろえ、共に目標に向かえるようにしました。

徹底的な個別フォローと評価制度で学生のモチベーションを上げる

▲阿南(写真奥)はインターンの入社から卒業までをデザインする“インターン人事”を担当

また、インターンを導入する企業の多くが課題に感じるのは、学生たちのモチベーション維持。大学の講義やサークル活動など多忙な学生たちは、インターンに何らかのメリットや意義が感じられなければ、長期的に続けることはできません。

ピープルエクスペリエンスオフィス タレントマネジメントチームの阿南美咲は、こう語ります。

阿南 「漠然と『成長したい』と感じて入社してくる学生がほとんど。
ですから、入社したインターンが、具体的にどう成長したいのか、どんなスキルを身につけたいのかを明確にしていけるような1on1ミーティングを設計したり、日々成長実感を積み重ねていけるよう制度をブラッシュアップしたりしています」

現在インターン人事としてインターンの初期研修を担当している阿南自身も、インターン出身の新卒1年目(2018年入社)。基本的なビジネススキルを研修するほか、インターンとの面談をおこなっています。

阿南 「少しずつできることを増やしたい人なら、任されている仕事にどう取り組むか、どうすればもっと成果を出せるか。将来的に起業を目指す人なら、どのように自分の影響範囲を広げていくか。
一人ひとりモチベーションの源泉が違うので、相談を受けたらそれぞれの目線に合わせてアドバイスして、担当上司ともスムーズにコミュニケーションを取れるように働きかけています」

そして、さまざまな「モチベーションアップ施策」も企画。

優秀なインターンを表彰するMVP制度のほか、セミナーや書籍購入を補助する「二宮キュー次郎」、自ら所属部署異動を希望できる「インターンドラフト」など、インターンの声をもとに働きがいのある環境を整備しているのです。

インターン制度こそが学生・会社・社会にとって「三方よし」

▲キュービックでは、活躍したインターンを定期的に表彰している。今後の事業を発展させるためにもインターンの力は欠かせない

社会経験の乏しい学生には基礎となるビジネスマナーに加え、各業務の取り組み方やノウハウなど、すべてをイチから教える必要がある。

しかし学生は授業やサークル活動など、仕事以外に優先したいことも多く、安定した勤務時間が確保できないことも多い。

また、どんなに優秀な学生インターンを採用できたとしても、大学を卒業すればほかの企業へ就職してしまう――。

インターン採用はある意味、新卒採用よりも難易度が高いと言えるかもしれません。それにも関わらず、なぜキュービックは積極的なインターン採用を続けるのでしょうか。

それは長期インターンシップこそが、学生よし・会社よし・社会よしの「三方よし」と信じているからです。

まずは「学生よし」。学生たちは、仕事や、働く人の“リアル”を見て、将来のアウトラインをつくるきっかけを得ることができます。

そして、長期インターンシップの経験を生かして、新卒1年目から“即戦力”としてパフォーマンスを発揮できることは、大きな強みです。

次に「会社よし」。長期間一緒に働くことで、お互いの長所も短所もわかった状態でミスマッチのない採用につなげることができます。正社員採用に至らなくても、学生は十分な戦力になります。

また、正社員が若いうちから学生を対象としたマネジメント経験を積むことができることも、大きな魅力のひとつです。

そして「社会よし」。高齢化が進み人口も減少していく日本において、“働き手”の人数確保は重大な課題で、国力低下は免れません。

しかし大学生を、経済活動の現場に引っ張り出すことができれば、多少なりこの低下速度を抑えることもできると私たちは考えています。

阿南 「社会経験が乏しいまま就職活動をしても、自分に適した一社を見つけるには物差しがあいまいで、悔いが残る結果に終わる人も多いですよね。
しかし、当社でインターンをすることで、自分が本当に得意なことはなにか、どんなところを強みとして働いていきたいのか、経験を通して語ることができます。多くのインターン生たちが納得のいく形で就職活動を終えられているのは、とても嬉しいですね」
荒木 「新卒市場も激戦のなか、学生たちに私たちのようなベンチャー企業を知ってもらうには、やっぱりインターンは良い機会。
私自身も“インターンをおこなっている企業”としてはじめて当社を知ったんです。そこで実際にインターンシップを経て、そのまま入社を決めました。
会社が学生のポテンシャルを信じて、裁量を与えることで大きな成果につながってきた実績がある。それが文化として根づいているのは、私たちの強みだと思います」

キュービックは、2025年に向けて“年商1000億円規模の会社になる”という目標を掲げています。

それを達成するためには、これまでの事業に加え、よりクライアントの課題解決に寄り添った新たなソリューションを導いていかなくてはなりません。そのためには、これからの10年、20年を担う優秀な人材が欠かせないのです。

まだ固定観念や世の中の常識にとらわれない学生たちのしなやかさと好奇心を、真の意味で最大限に活かせる環境をつくることを目標に進んでいきます。

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