「キャリアを断絶したくない」――途切れかけていた人事としてのキャリアが再び繋がる
こんなことが起こるなんて、全く予想もしていなかった
2018年11月現在、株式会社クラウドワークスで完全にオンラインで、「人事」として働いています。
佐々木「完全オンラインで、スピード感と裁量のあるベンチャー企業で働く今の仕事は、履歴書・職務経歴書に書ける経歴。
一度は諦めた人事の仕事を、在宅でできていることが本当に嬉しいです。今年に入ってからは毎日ワクワクしています」
彼女が「人事」の仕事に興味をもったのは、新卒のとき。採用に関わってくれた人事担当者に憧れて、大手化粧品会社に入社しました。営業・インストラクター等を2年間経験したのちに、採用に関わりたいという思いで転職。都内のセキュリティソフトを販売するITベンチャーに転職したことが、彼女の人事としてのキャリアのはじまりでした。
そこはいわゆる少数精鋭のベンチャー企業。前職の経験も評価されて、佐々木はすぐに会社にとってなくてはならい存在になっていきました。
佐々木「ここでキャリアを積み上げていきたいと漠然と思っていました。
その後、結婚をして子どもができてからも、ギリギリまで働いていて、出産まではなんのトラブルもなかったんです」
しかし、そんな佐々木に予想もしなかったことが……。
2011年9月に長女の心臓に病気が見つかったのです。
「お母さんはあなたしかいないから」。悩んだ末の退職
会社には事情を理解してもらい、育児休暇をのばすことができたので、そのあいだに何度かの手術を行ないました。そして2人目の子どもを授かって、産休や育児を合わせて、合計約3年のお休みをいただきました。
その後、長女はなんとか一般的な生活を送れるようになったので、佐々木は時短で復帰することに……。
佐々木 「やっぱり普通の元気なお子さんとは違って、体調のすぐれない日やしんどそうな日がよくあります。後ろ髪を引かれながら、保育園に預けたものの、呼び出しが続くこともありました。
自分のキャリアを戻すために復帰はしたものの、これでいいのかな?って悩んでしまって」
2015年の中頃、佐々木は意を決して上司に相談したと言います。
在宅ワークや、週3日勤務など、歩み寄った提案をいただくも、前例がひとつもありません。会社の就業規則を変えたりルールを整備する必要がありました。
佐々木 「今から上に通していくには、どうしても時間がかかってしまう。当時の長女の体の状況では、それを待っている余裕はありませんでした。
どうしようかを考えたとき、上司に言われたんです。『お母さんはあなたしかいないから』って」
キャリアを断絶させたくないという気持ちはあったものの、子どもを優先すると決めて、在宅ワークの仕事を探しはじめたのは、2015年。
オンラインの働き方は今ほど当たり前ではなく、人事関係の仕事はなかなか見つかりません。
時給が高いものを選ぼうとなると、怪しい仕事ばかり。子どもの体を気にかけながら、在宅で人事の仕事をすることは無理なんだ、と佐々木は諦めていました。
運命を感じたビズアシスタントオンラインとの出会い
唯一時給の高かった、テレマーケティングの仕事をはじめ、2年が経とうとしていました。
佐々木 「契約条件が頻繁に変更になったり、働いた分の対価を得られなかったり、不満が増えていました。仕事をする以上はある程度認められたいし、成果を残したい。それを感じられる要素は仕事内容やお給料だと思うんです。私はやっぱり人事でキャリアを築きたいって、再び考えるようになりました」なかば諦めの気持ちを持ちながらネットで探したところ、目に飛び込んできたのは求めていた仕事そのものでした。
佐々木 「ビズアシスタントオンラインというサービスが、在宅で企業の人事の仕事を月 80時間お願いしたいと。そしてそこには、“人事と営業をやっていた人歓迎 ”の文字が……。思わず、私のこと?と思ったんです」見つけた1社目の募集にすぐエントリーをして、Skype面談でスキルや人となりをお伝えし、1週間後には最終面談を受け、その後トントン拍子で進んでいったと言います。
佐々木 「『 次いつ勤務できますか』と聞かれて、最短の日程を出しました。本当に運命だと思ったんです。やってみたいことができるんだ!って 」業務のメインは中途採用で、書類の選考や、1次選考のスクリーニング、採用候補者に落選のご連絡などオペレーション全般。
在宅ワークで人事を担うからこそ、スピード感やタイムリーさを心がけているといいます。定期的に出社をして、会って話して人となりを知ることもあります。
佐々木 「家にいると感じないですけど、人とつながれるのがすごくうれしいんです。社会から一度離れたからこそ、ありがたさに気づきました。生きがいって言ったら大げさですけど、本当に楽しいなって思いますね」オンラインでも臆することなく、楽しんで仕事ができるのは、理由がありました。
佐々木 「会社のみんなが、ひとりのメンバーとして受け入れてくださっているんです。オンライン上の会議では、必ず意見をちゃんと聞いてくださいますし、2週間に1回は、リーダーの方に悩み相談をする時間があります。子供の体調などプライベートなことも含めて話しています。本当にチームの一員だと感じられるんです。最初のほうは、どの程度フランクに接しても大丈夫なのかわからなくて、ためらっていましたが、今では積極的に関わっています」クラウドワークスは、もともとフリーランスのエンジニアやデザイナーなど、多様な雇用形態で働いている人がいる会社。
だからこそ、どんな立場であっても、居心地がよく働けるのかもしれません。そんな社風は、会社の好きなところのひとつだと佐々木は話します。
在宅ワークでつながったキャリア、いずれは正社員へ
佐々木 「通勤していたときは、通勤時間が往復で 2時間ぐらいかかってしまって、帰ってきてからは疲れてヘトヘトでした。
保育園の送り迎えのために、自転車に子どもを乗せるのも大変で。本当に『はぁ……』という感じになって、休日もほぼないものでしたよ。
子供と関わる時間よりも、明日に向けての片付けや準備でいっぱいいっぱい。中途半端にしておくことが嫌な性格だからこそ、よくイライラしていました」
在宅で子どもを気にかけながらも、やりたかった人事の仕事ができるようになった今、佐々木の生活は一変しました。
佐々木 「通勤時間はないですし、パソコンをつけたらすぐに仕事ができる環境なので、ゆとりができたんです。仕事の時間は長くなったはずなのに、子どもと一緒にテレビを見たり、百人一首のぼうずめくりをしたり。
今では子どもの習いごとを増やして、送り迎えもしています。そして、夕飯のおかずは 1品増えたんです(笑)。
テレマーケティングの業務は収入面でも不満があったのですが、今はしっかり評価したうえで、前職の約 4倍の収入もいただけているので、すごく余裕ができました」
娘の心臓病が発覚し、その後職場に復帰するも泣く泣く一度はキャリアを諦めた佐々木。途切れかけていた「人事としてのキャリア」を「在宅ワーク」という形でもう一度手にすることができました。
佐々木 「いずれは今の会社で、正社員などの本格的な復帰もしたいですね。任せていただけるなら、どんどんチャレンジしていきたい」
母親として、人事として、彼女の道はこれからも続いていきます。