at Will Work

WORKSTORYAWARD2018

これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2018」の受賞ストーリー、
一次審査通過ストーリーを公開しています。

ママ社員の気持ちにとことん寄り添うーーgCストーリーらしい育休制度ができるまで

gCストーリー株式会社
gCストーリーは社内初の産休・育休制度取得者を前に、制度の見直しや不安の改善に努め、独自の制度を生み出しました。その背景には、gCストーリーが掲げる理念である「全社員が幸福であること」へのこだわりがありました。初の制度利用者となった藤田里菜と、取り組みを進めた執行役員の安部孝之が語ります。

社内初の産休・育休制度取得と、オリジナルの制度づくり

▲左が事業推進部、藤田里菜

gCストーリーでは「全社員が幸福であること」を常に念頭に置き、組織の体制や仕組みの検討と改善を続けています。

社名の由来ともなっている「growth for Contribution(貢献のための成長)」は、理念の柱であり、事業を進めていくための判断基準。何より社員同士が意識している指針です。

こうした企業文化を持つ私たちの大切な仲間である事業推進部の藤田里菜。彼女が出産にともない産休と育休をとることになり、gCストーリーらしい産休・育休制度の模索がはじまりました。

社内初の産休・育休制度に対して、執行役員の安部孝之は利用者である社員の希望に寄り添う選択をします。

安部 「社内には子どものいるメンバーが少なかったため、出産後に働くことを希望しているのか、復帰にはどんな壁があるのか、想像できませんでした。だからこそ、当事者である藤田に何を希望するか産休に入る前に希望を聞いたんです」
藤田 「私の母は働きながら私を育ててくれていたので、出産後に仕事を辞めるという選択肢は考えていませんでした。ただ、私もはじめての出産だったので、何が不安なのか、具体的に想像できていなくて……」

法で定められた産休・育休制度のままで良いのか……?安部は他社での取り組みを参考にすることにしました。そこで、他社が法定制度の範囲を超えて、女性が出産・子育てを経てなお働けるためのさまざまな工夫をこらしていることを学びます。

一方で、企業の規模感などの点で自社にフィットするものはなく、gCストーリー独自の制度を検討することの必要性も感じたのです。

安部 「子育てを楽しめて、働くことから離れずに済む。そのラインはどこだろう、と考えました。職場管理しやすいことにフォーカスを当て、不安が解決できることを意識しました」

検討を重ねた結果、法定の育児休業期間が当時最長で1年6カ月であるところを2年まで引き伸ばす点や、時間指定勤務を小学校入学まで無条件化する点など、実際の出産と育児に寄り添う改善を加えた制度を設けました。

復帰後の不安に寄り添うプレ復帰制度の導入

こうした制度の見直しと変更は藤田が産休に入る前に完了します。産休前に少しでも不安のない状態をつくろうという配慮が、スピーディな改善につながりました。

藤田 「早いな!と思いました。私が法定の制度を実際に利用するなかで見えた改善したいポイントを直してくれるだろうなと予想はしていたのですが、事前に変えてもらえて、とてもありがたいと感じました。
また、自分たちで制度を変えていけるんだということがわかり、とても心強かったですね」
安部 「一応制度はつくったけれど、不安なことがあったらなんでも言ってね、と伝えました。これが必ずしもゴールではないと思っていたので」

実際に改善された制度を利用し、藤田はふたりの出産を経てこの制度の魅力を感じます。

藤田 「私の場合、1人目の出産時は1年以内に復帰し、2人目の出産では2年の休暇を利用しました。そういった選択肢があるおかげで、実家の両親と子どもたちの時間をつくることができましたし、精神的な余裕を持てたと思います」

ただ、休暇を長く取れることによって、出産と育児におけるメリットが大きいことを知った反面、実際に仕事に復帰するタイミングが近づくにつれて、新たな不安が芽生えはじめます。

藤田 「2年程度休んでしまうと、働いているときの感覚やスキルを失ってしまうんです。
仕事を離れて育児や家のことに専念していたところから、仕事の面もそうですが、保育園の送迎、ご飯の準備の段取りなど、育児をしながら働くことのイメージがわきませんでした。そこで、『プレ復帰』制度を新たに提案したんです」

プレ復帰制度は、育休を取得しているメンバーが職場に子どもを連れていき、働く時間を徐々に増やしていきながら復帰のリハビリ期間を設けられる制度。職場に子どもがいられる環境は、制度によって設けられたのではなく、社員同士のコミュニケーションや信頼が自然に生んだものでした。

安部 「いつのまにか子どもがいて、藤田も働いているという感じでしたね(笑)。会社に子どもを連れてくることをネガティブな印象にするのは、そこに勤めている社員なのだと思います。私たちは連れてきて全然構わないというスタンスですから」

母となるメンバーの復帰への不安や、出産・育児に対する問題を解決しようとするgCストーリーの想いや姿勢は、女性社員の希望になり、出産後も働けるビジョンを明確に打ち出すことにつながりました。

その後、ママ社員の人数は増えていきます。

会社とママ社員をつなぐ「ママ会」の発足

gCストーリーの産休・育休を取る女性同士でつくられた「ママ会」は、プレ復帰制度と同じく、休暇中に会社との精神的な距離が離れてしまう問題を解決することを目的に自主的につくられたものです。

藤田 「休暇中のママ同士でランチ会をしよう、とグループをつくったのが発足のきっかけです。集まって、子育てのことや日々のことを気兼ねなく話せたらいいなって」

それぞれが家庭で行なうべきタスクに追われていると、なかなか集まる動きを取りづらく、閉鎖的になってしまう……。

それを会社のコミュニティとして可視化することで、会社主導の集まりが定期的に開催できるようになりました。ランチ会のためにつくられたコミュニティのチャットグループには、やがて子育ての悩みや素朴な疑問が投げかけられるように。

次第に「ママ会」は、子育て中の課題を解決するための安心できるコミュニティに育っていきました。

藤田 「ネット上にも子育てに関するネットワークはありますが、実際に顔を見知っていて信頼できる人で子育てについて相談できる人って、意外と少ないものだと思います。自分の家族以外でそうした悩みを共有できる相手として、会社の仲間がいることは心強いのではないでしょうか」

ママ会があることで、長期休暇から復帰する際の緊張や不安はより和らげることができました。

週何回かはオフィスに子どもを連れてくるプレ復帰中の社員がいるという現状は、出産とキャリアの双方を両立したいと考えている女性にとって大きな希望と言えるでしょう。

幸せを想うことで成長し続ける企業であるために

こうした取り組みの結果、gCストーリーはGreat Place to Work® Institute Japanが発表した、2018年版日本における「働きがいのある会社」女性ランキング(25~99名規模部門)で1位に選出されました。

藤田 「受賞時は育休中でしたが、聞いた時は嬉しかったです。何より、復帰したら当事者として働きやすいような取り組みをしていけるんだなと希望を見出せました。
私が復帰をし、制度の変更やママ会の取り組みをしながら働いていることで、今後ママになる人たちが安心できる土台をつくり上げているという側面もあると思うので、頑張っていきたいですね」

今回、産休・育休制度の見直しやプレ復帰制度の導入、ママ会の発足などの一連の動きは、すべて「社員の幸福」につながる状態とは何なのかを徹底した先に生まれたものでした。

gCストーリーらしさを追求した動きは、産休・育休にこだわらず今後の制度改善にもつながっていくものです。

藤田 「制度は変えていけるんだよ、ということを伝えたいですね。自分がどう働きたいか、どう生きたいか考えたうえで、改善が必要ならどんどんと意見を言っていいんだと思っています。
どの程度反映できるかはその時の状況次第ですが、少なくとも自由に設計できるものなんだと思えることが、大きいです」
安部 「たとえば、女性だけでなく男性も育休を取りやすくしていくことが望ましいと思っています。gCストーリーの社員のライフステージは、社の成長と共に変化しつつあります。その変化に柔軟に対応し、会社がどのような働きやすさを提供できるかが大切です」

社員一人ひとりの人生そのものを考えながら会社や組織が変化していく。それは、理想的である一方、難しいことでもあります。

それでもgCストーリーがその困難に向き合っていくのは、一つの信念が変わらず根幹にあるからです。

安部 「人の幸せを想うことが自分の幸せにつながったら、最高に幸せですよね。夢物語のようかもしれませんが、そこを考えずして事業の成長や会社の方針は考えられないと思うんです。
会社としてどう成長していくかという課題と、社員がどう幸せになっていくかという課題。この双方に取り組みながら、今後も社会貢献につながる成長を続けていきたいですね」

gCストーリーが変わらず考え続ける「growth for Contribution(貢献のための成長)」を支えているのは、こうしたお互いの幸せを想いあう社員一人ひとりの行動です。

gCストーリーは、今後も社員の幸福を導き出す改善を繰り返しながら、働きやすい環境のなかで成長していきます。

同じテーマのストーリー