リアル×テクノロジーで理念浸透。新たなAG-MINDができるまで
新たな行動規範で「次代を創る」大志を実現
事業成長にともない、エージェントは2016年から1年で50名→100名に社員が急増しました。それまで当社では、毎月「AG-MIND」という行動規範の中からひとつテーマを決め、朝礼でそれに沿ったスピーチを通して社員の士気を高めてきました。
しかし急拡大してきた昨今、なかなか行動規範が浸透しづらい状況に。CHROの八並嶺一は、行動規範をあらためて考え直す必要があると思うようになります。
八並 「以前の AG-MINDは 30項目もあり、なかなか覚えづらかったんです。これから社員もどんどん増えていきますから、 500名、 1000名になっても薄まらない行動規範をあらためてつくっていきたいと思いました」
エンジニアの来海(きまち)拓哉をはじめとして、全国の支社の新任マネージャーがチームを組み、AG-MINDの策定に向け話を進めていきました。オンラインで全国をつないで話し合い、全社員にアンケートを取るなどしてブレスト。すべての意見から抽出したキーワードを12個に絞り込み、3つのテーマに集約しました。
来海 「もともと『次代を創る』という大志のもと設立されたエージェント。この志の下、みんなの意見も踏まえて、『 Be Ambitious(次代を描く人)』『 Be Leader(次代を導く人)』『 Be Professional(次代を開く人)』という 3つの行動原則を考えました。さらに『次代を描く人はどんな人のことだろう』というように、細かく定義していったんです」
さっそく、来海たちは策定したAG-MINDを冊子にまとめ、社員たちへ配布。全社員に向けて決起総会で利用イメージを説明し、意識付けをしていきました。
しかし、ただ冊子を渡し、一方的に伝えただけでは社内で定着させることができず……。そこで八並たちは、オンラインコミュニケーションによるアプローチも展開することにします。
社内用SNSで感謝を伝え合う文化が浸透し、幸福度も上昇
さまざまなプロジェクトが同時進行していく中で、来海を筆頭に「お知らせ」「日報」「実績」「アンケート」など、さまざまな機能を付けフルスクラッチで社内専用SNS「キャリトレ」を開発。八並はSNS設計の全体を統括し、試行錯誤を繰り返しながら運用をスタートさせます。
八並 「毎月、 AG-MINDの 3つのテーマからひとつを決めて、日報を書くときはテーマに沿った内容を 1日に 1回書いてもらうようにしました。また、『本日の感謝』というコーナーも設けて、メンバーやお客様への感謝に対していいね!やコメントを付けることもできます」
先日は「Be Leader」をテーマに、こんな投稿がありました。
──広島県の店舗を担当するようになって、もうすぐ 1年。最初その店舗は中国地方でも総合評価は下の方。そんな店舗が 1年で変わりました。プロセスを上げていくための見直し店長さんが「ツッチーどうしたらいい?」と相談してくださり、僕の意見も取り入れて店舗のパンフレットの置き方やポップの配置も一緒に考えました。
その結果、5月期総合評価がなんと中国地方で速報 3位!光、タブ、映像系もすべて達成!
本当に嬉しかった。約 1年間一緒に頑張ってきてよかった──
土田裕次郎
達成できたことに加え、仲間に対する日々の感謝も続々と投稿されています。
来海 「感謝を伝え合うことが社員の幸福度を上げている、というアンケート結果が出ています。みんなの頑張りが目に見えるだけじゃなくて、他の支社・部署が何をしているのかが把握できるようになりました。『今こういうことに悩んでいる人がいるんだな、どうやったら解決できるだろう』と、社内でシェアできることは良い効果だと思います」
困っていたこと、その原因、解決方法などをキャリトレに記入することで、問題解決の意識を根付かせることに成功しました。日々の成果を逐一確認し、今では遠くの仲間の頑張りを見ることをみんなが楽しみにしています。
行動規範で自分たちの立ち位置を把握。自信が成果につながる
SNSに加え、リアルでのコミュニケーションも社内全体で強化。現場のチームと広報担当の秋山夏穂が中心となって進めていきました。
当社では四半期に一度、社内で活躍した社員を表彰する制度を設けています。今回開発したキャリトレで付いた「いいね」の数や社内アンケートの結果も参考に、全社員が自分たちで表彰する社員を選んでいきます。
秋山 「四半期に一度の表彰制度で選ばれた優秀者の中から、毎年開催される決起総会で年間の最優秀者を選出しています。部署が違うと、あの社員はなんで表彰されたの?と選出理由がきちんと伝わらないこともありました。でもキャリトレのおかげで、何が評価されたのかを事前に共有できるようになったんです」
秋山は広報として、社外向けの採用ブログでも一連のプロジェクトについて発信。今では「あの取り組みを読んで、仕事への具体的なイメージがついたので入社した」という社員も増えてきています。さらに社内報にも力を入れるようになり、社内外に対して「どんな行動をすれば問題解決できるのか」「どんな行動がエージェントでの活躍につながるのか」をより具体的に伝えることに注力しています。
そのような活動の積み重ねにより、社員一人ひとりにも変化が生まれ始めています。行動規範がシンプルになり、コミュニケーション量が増えたことで、より自分たちの立ち位置が明確になり、現状を把握できるようになりました。社員みんなが誇りを持って客先へ向かい、成果につながっています。
秋山 「当社の社員はお客様が困っていることを見つけて、解決したい想いが強いんですね。だから販売の目標実績を達成するだけではなく、社内コミュニケーションをもっと円滑にするための仮説を立て、改善策の提案まですることもあります。いつも前のめりなので、お客様には『いい意味で気持ち悪い』と言っていただくことさえあります(笑)」
オンライン&リアルの両軸でプロジェクトを展開したことにより、従業員エンゲージメントの指標となる「eNPS数値」を測定するアンケートでは、2017年、2018年の2年間で社風・上司や社員同士の関係性がそれぞれ30%超も上昇。事業の拡大に負けず、社員同士の絆も深まってきています。
ちょうど良い濃さで、企業文化を社内に浸透させていきたい
AG-MINDを浸透させるために、八並たちは活動の「頻度」と「濃度」を大切にしてきました。頻度はまず、社内SNSへの毎日の投稿。これはすべての社員に定着しています。
そして、四半期に一度のキックオフや年に一度の決起総会を通して、AG-MINDの濃度を高めてきました。
八並 「行動規範を含めた企業文化って、カルピスの原液みたいなものだと思っています。濃すぎると宗教っぽくなるし、薄すぎても会社の良さが前に出づらい。ですから会社のフェーズに合わせて、支社のマネージャーのみんなには半年に一度合宿してもらって “原液化 ”させています。このバランスを取っていくのが、今は課題のひとつですね」
2019年現在プロジェクトは立候補制にしてチームをつくり、AG-MINDを浸透させるための新しい試みも始めています。勉強会を開催し、AG-MINDを仕事でどのように生かしているのか共有する場をつくっています。
さらに、解決したい課題へアプローチする「解決ラボ」というプロジェクトも始動しました。先日はセクシャルマイノリティーの人たちが働きやすい環境づくりについて考えるなど、AG-MINDの浸透以外にもさまざまな取り組みを生み出しています。
八並 「今後は AG-MINDに対する新入社員へのマインドセットを強化していきたいです。また今後の会社の方向性もちゃんとわかるように、どんな背景で AG-MINDが生まれたのか、ストーリーとして細かくまとめていきたいと考えています」
現在は東京を含め全国に6つの支社がありますが、今後も事業拡大に合わせ、新たな仲間を増やしていく予定です。新生AG-MINDを胸に、これからもお客様の期待を超え、一人ひとりが次代を創る担い手であり続けます。