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これからの日本をつくる"働き方"のストーリー

目指したのは、"オフィスに見えない"オフィス。USEN-NEXT GROUPが考える新しい働き方

株式会社 USEN-NEXT HOLDINGS
USEN-NEXT GROUPでは経営統合を機に、本社移転計画が立ち上がります。半年という過密スケジュールの中、フリーアドレスや緑視効果を取り入れ、生産性向上&リラックスできる空間づくりを心がけました。社員や周囲からの評判はどう変化したのか。進化し続けるオフィスを目指す模様を、執行役員の住谷 猛がお伝えします。

創造性のある場づくりを追求するため、2,700坪のオフィスへ移転

▲目黒本社の新オフィス

当社のコーポレート統括部が始動させた人事プロジェクト「Work Style Innovation」では、社員が既成概念にとらわれずエネルギッシュに働けるコミュニティづくりを目指しています。各社でフレックスタイム制やテレワーク制、フリーアドレス制を導入し、時間と場所という制約から解放された働き方を推進しています。

よりイノベーティブな働き方をしていくためには、いかに創造性のある場を生み出せるかに注目することになりました。

USEN-NEXT GROUPは18の事業会社からなり、オフィスが東京・青山の数カ所に分散していました。2017年12月に経営統合してからは協力体制を強化するため、分散したオフィスを1カ所に集めることに。シナジーを生み出す舞台をつくり、最高のパフォーマンスを発揮させたいと考えます。

住谷 「これまでのオフィスは、仕切りのあるデスクに向かい合って作業をするつくりで、そこで仕事をしたいと思えるオフィスではありませんでした。テレワークが導入されたので通勤は強制ではありませんが、人が集まるからこそ生まれるものもあります。そこで、社員が自然と『集まるオフィス』をつくりたいと考えました」

移転先になったのは、5フロア・2,700坪ある目黒駅前のオフィスビルです。

住谷が当社代表の宇野 康秀に言われていたこと、それは「オフィスに見えないオフィスをつくってほしい」ということでした。住谷は、5フロアの改装・移転は、内装デザインの検討から実際の入居まで、だいたい1年半程度はかかると想定していました。しかし、それを実際には半年で完了させる必要がありました。限られた時間の中で従来にはない、快適で、生産性の高まるオフィスづくりに向けて動き出します。

「HAPPY HOUR」を導入。部署、会社を横断したコミュニケーション

▲「HAPPY HOUR」の様子

コーポレート統括部では、新しいオフィスを「USEN-NEXT HEAD OFFICE」と名付けました。

「オフィスに見えないオフィス」という宇野が掲げたコンセプトをもとに、デスクの仕切りをなくしフリーアドレスに。オフィス空間にはオフィスの象徴ともいえるキャビネットは置かず、収納の空間をつくるなど、住谷はコンセプトを具現化していきました。

また、視界に入る範囲に15%以上の緑があると生産性が高まる研究結果が出ていることから、植物をできるだけ設置して緑視効果のある空間づくりにもこだわります。

2018年7月、無事にオフィスを移転。実際の使い勝手を考慮して、フリーアドレスのエリアに加えて仕切りをつけたデスクも設け、会議室も30分単位の予約制にしました。リフレッシュ効果を出しつつも、作業効率を考えた空間づくりを心がけています。

住谷 「働く空間のみならず、グループ各社の商材を置き、実際に体感できるショーケース型ラウンジを設置しました。『 Hotel』『 Dining & Bar』といったコンセプトごとに用意して、お客様向けの商談や、採用候補者に体験してもらうなど多角的に活用しています」

また、グループ会社全体の拠点となるため、自由でボーダーレスなコミュニケーションを生み出す「HAPPY HOUR」を企画します。移転前にはなかった会社・部署の横のつながりを深める機会になっています。

住谷 「ある社員が『部下たちを労うために打ち上げをしたいけど、人数も多くなるとなかなか気軽に開催できないから難しい』と言っていたのを聞いて、すぐに動きました。
13階にある社員用のラウンジで、月に一度、 18時〜 20時まではお酒を含めたドリンクとフードを無料で提供しているんです。入れ替わり立ち替わりで、多いときは 300名くらい集まっています」

垣根がなく、どこでも自然に人が集まり、気軽に声を掛け合いながら情報を交換し合える風通しの良い環境づくりに成功しました。

支社長も新入社員も、同じオフィスで、同じデスクで

▲札幌オフィス「U BASE POLARIS(ポラリス)」

移転後の社内アンケートで、「働きやすくなった」と答えた社員は8割超にのぼりました。「これを取り入れてほしい」といった自発的な意見も挙がり、オフィスへの関心が以前より高まっています。

たとえば住谷は、ある女性社員からこんな話を聞きました。

住谷 「彼女は『最近、朝起きて会社に来るときに着てくる服装に迷うんです』と言ってたんです。なぜかを聞いてみると、『こんなすてきで立派なオフィスにふさわしい自分でいたい。来客対応や会議のことを考えてふさわしい服装を考えると時間がかかるんです』という話をしてくれました。
それはすばらしいことだと褒めました。なぜなら、自分がその仕事に対して、どう成果を出そうかを真剣に考えているからそうなるんです。服装に気をつけるようになったというのは、新しいオフィスが働く人の意識を変えたということだと思います」

2019年5月からは、札幌、仙台、名古屋など地方拠点のオフィスリノベーションも始動しました。USEN-NEXT GROUPの社員は日本中で約5,000人。毎日通勤する会社に対して誇りを持てるオフィスにしたいと考え、地方の独自性を出していきました。

住谷 「札幌の U BASEには北極星を意味するポラリスを入れ、『 U BASE POLARIS(ポラリス)』。横浜は『 U BASE MARINA(海)』、名古屋は『 U BASE CASTLE(城)』など、そのエリアにちなんだ名前のオフィス空間をつくっています。ネーミングをもとにデザインコンセプトを決めて、かたちにしている最中です」

さらに支社にもフリーアドレスを導入したことで、支社長や部長など役職に関係なく、グループ全体の一体感を感じられるようになりました。

日本の企業は役職に合わせて執務室を設けたり、デスクやイスを変えたりする文化があります。しかしフリーアドレスによりそのような慣習をなくし、支社長や部長も、その他の社員と同じオフィス、家具で仕事をしています。これは、過去数十年の歴史の中でも大きな変化です。

柔軟な働き方をかなえながら、ゴールのないオフィスづくりに向き合う

▲ショーケースラウンジ『U hotel MEGURO』

オフィスが広くなったことで、記者会見や新卒採用の説明会など、社外向けのイベントもオフィス内でできるようになりました。シェアリングの文化も広がっているので、今後は外部の方にスペースを貸し出し、何か協業できないかなど、アイデアは尽きません。

住谷 「オフィスの移転を検討している企業様に対して、オフィスツアーも開催しています。見学後は『ここで何かやらせていただきたいです』などのご要望をいただくことも多く、これをきっかけに何かおもしろい事業が生まれる可能性も大いにあります」

さらに採用説明会を新しいオフィスで行うようになったことで、これまでは400名ほどだった応募者が、2,500名と約6倍になりました。内定承諾率は前年の約1.5倍に増加し、直近の20年で最も高くなっています。事業のみならず、時代に合わせた職場環境に魅力を感じていただいているようです。

今後は、働く場所にもより柔軟性を持たせていきたいと考え、オフィスのサテライト登録を計画中です。

住谷 「 USEN-NEXT GROUPは全国で約 200支店あります。たとえば通常本社勤務でも、西武池袋線の沿線に家がある社員がいるとします。通勤途中には池袋支店があるのでそこをサテライト登録すれば、そこで仕事もできる。
セキュリティチェックなしで入室、社外秘の資料の印刷などもできれば、わざわざ本社に戻る必要がなくなりますから効率的ですよね」

オフィスの環境づくりにはゴールがありません。移転直後は新鮮さがあっても、長く働いていると、時代の変化に合わず非効率になってもそれが当たり前になってしまうものです。

時代の変化に合わせて働き方、オフィスを進化させていきたい。移転してまだ1年の本社ですが、社員の声を聞きながらすでに少しずつリノベーションもしています。引き続きコーポレート統括部では、社員たちに良い刺激を与え、誇りを持って働くことができるオフィスづくりを目指していきます。

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