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これからの日本をつくる"働き方"のストーリー
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より多くの「生きる」を看るために。関わる人すべてに寄り添う医療業界の働き方改革

ソフィアメディ株式会社
医療業界は緊急対応が求められることも多く、働く人の負担が重くなりがちです。一方で、これからの日本ではますます需要が高まる仕事でもあり、スタッフの働く環境整備は大きな課題。ソフィアメディ株式会社で行った在宅医療体制の拡大と、それにともなう社内制度構築までの道のり、その先に見据える未来をお伝えします。

ニーズが増える一方、「ずっと続けるのはしんどいです」という現場の声も

▲2018年当時の人事総務のメンバー(中央奥が宗梨恵子)

日本国内では2019年現在、急速に高齢化が進む一方で、病床数が減少しています。さらに2025年には約800万人の「団塊の世代」が75才以上に。その中で求められているのが、一人ひとりが満たされた療養生活を送るための、在宅医療体制の整備・拡充です。

2002年に創業したソフィアメディ株式会社は、訪問看護ステーションの運営を軸に、「安心であたたかな在宅療養を日本中にゆきわたらせ、ひとりでも多くの方に、こころから満たされた人生を」というビジョンに向けて、日本国内のインフラづくりを進めています。

より多くのお客様を受け入れていくために、既存の訪問看護ステーションの24時間365日体制への移行を開始。年中無休の稼働になるということは、スタッフそれぞれの働き方の調整が必須となります。

一人ひとりの働きやすさを追求するには、慎重な調整や事前準備が必要でした。人事開発グループマネージャーの宗梨恵子は、スタッフの働き方の多様性を尊重するために、人事として施策を考えていきました。

宗 「 24時間対応は以前から行っていましたが、 365日稼働を始めたという点が大きな変更でした。 24時間 365日の対応を可能にするためには、定期外の訪問や夜間の緊急コールに備えるスタッフの精神的・身体的負担も大きくなります。
実際に現場からは、『これをずっと続けていくのは、正直しんどいです』という声も挙がっていました。会社として、しっかり働き方の多様性に対応できるような施策を考えていかなければいけないという危機感がありましたね」

ビジョンの実現に向かうには、約7000人のお客様と向き合うスタッフ一人ひとりのワークライフバランスや、それぞれの働き方の希望に配慮し、負担を補うしくみが必要。そう考えた私たちソフィアメディは、2018年半ばごろから、新しい取り組みの検討を始めました。

現場でのヒアリングを重ね、実情に即した働き方施策「ソフィアWOW!」第1弾が完成

▲働きがいと働きやすさの両立のために試行錯誤

人事部が中心となり、スタッフが働きやすい体制を整えるしくみを考えようとアイデアを出していきました。しかし、当初できた素案は、社内から不評となってしまいました。

宗 「平日の定期的な訪問以外にも臨時で呼ばれるなど、皆さん気が休まらない状態で日々仕事をしているので、そういった負担を少しでも助けられるものがないか?ということで、ステーションに寮母さんみたいな人を置いて、ごはんをつくったりしてくれたら喜ばれるんじゃないかな、と思ったんです。
ですが、その提案は『そんなものいらないです』と言われてしまって(笑)。それよりも、働き方自体の選択肢を増やす、柔軟性を持たせるという部分が求められていると、ヒアリングをして気づかされました」

その後、現場でのヒアリングや検討を繰り返し、より実情に即した働き方改革の制度が完成しました。それが「ソフィアWOW!(Work for Our Wonderful Life!)」という施策。2018年12月に導入しました。

具体的には、育休明けの正社員再登用制度、育児時短制度の対象拡大など、育児中のスタッフ向けのしくみや、LGBTQの社員のサポート、2時間単位で取得可能な有給休暇、社内融資制度・給与前払い制度、弁護士が窓口のホットラインを設けるなどの、プライベートまで含めたきめ細やかなサポート内容が特徴です。一度退職したスタッフが復帰しやすいような「ハローアゲイン」という制度もあります。

しかし、365日稼働に対応するには、それまで土日祝日には休んでいたスタッフが、シフト制で出勤することになります。その勤務形態の変更については、それぞれの事情を考慮し、慎重に進めました。

宗 「土日祝日休みで働いていたものを、土日祝日を含めたシフト勤務に変えていただく必要がありました。総勤務時間は基本的には変わらないように設計していくのですが、どうしても曜日や時間帯の変更を了承いただかなければいけません。
事前に、なぜ 365日稼働が必要なのか?という説明はもちろん、皆さんがどういう懸念を持っていて、どのように不安や負担感を払拭できれば納得してもらえるのか、というところは何度もステーションに足を運んで慎重に進めましたね」

全員が完全シフト制ということではなく、それまで通り平日のみの勤務も選択肢として残し、土日を含めたシフト制にメリットを感じたスタッフにはそれを選んでもらうという形でスタートしました。

制度活用者が続出。ストーリーブックで伝え方も工夫し、社内に浸透

▲忙しく駆け回るスタッフの日常

「ソフィアWOW!」が実際に導入されると、その活用者は続出しました。

有給休暇の2時間単位取得については、2019年7月には306件、8月には290件と頻繁に活用されています。「2時間休みがとれるようになり、助かっている」「休めるときに休んで体調を整えながら働ける」「予定を調整して社外の勉強会などにも参加しやすくなった」とスタッフからも好評。

ほかにも、ハッピー75という、75歳まで働ける制度を魅力に感じての入社も。ハローアゲイン制度を使った復職も事例が増えつつあります。そして、意外にも活用者がコンスタントに出ているのが「社内融資制度」です。

宗 「社内融資制度は、急な家族の体調不良で費用が必要になってしまったなど、緊急時に会社が無利子で融資するという制度です。これは今、月にひとりくらいのペースで申し込みがあります。
思った以上に活用されていますし、皆さん困っているからこその活用ですので、感謝の言葉もすごくいただきますね。心配事の解消に役立ち、安心して業務に集中していただけるので、つくってよかったなと思います」

また、「ソフィアWOW!」の内容をわかりやすく伝えるため、新人看護師の仕事の成長とライフイベントに沿ったストーリー仕立ての手引きを作成。制度の活用方法をわかりやすく工夫しました。

宗 「このストーリーブックは、イラストレーターさんに頼んだり、ストーリーを組み立てたりしながら構成していきました。
私自身初めての経験でしたが、きれいに仕上げられて、伝わりやすいものになったかなという達成感がありましたね」

このストーリーブックなどを活用し、新入社員研修の場や、社内報で社内への浸透と活用推進につなげています。また、施策とともに事業所数や人員の拡大も進み、採用数は2019年度で約200名を見込んでいます。

離職率を見ても、業界の平均離職率が約15%と言われる中、約5.5%まで低下(2019年9月時点)するなど、プラスの影響が出始めています。

お客様だけでなく、スタッフ一人ひとりの人生に寄り添う会社へ

▲スタッフ一人ひとりの「生きる」に寄り添う

「ソフィアWOW!」は、働き方改革の第1弾施策としてリリースされました。スピードも意識したリリースだったため、課題も残っています。

宗 「今回は、女性のライフステージに特化した内容が多かったので、もっと幅の広い問題を解決できるような制度を考えています。また、第 1弾では対象をある程度絞った分、まだ社内への周知が進んでいないところはあるので、何度もアナウンスしていかなければいけないなと感じています」

これまでにないペースで在宅医療のニーズが高まっていく中で、働きがいと働きやすさの両立のために、「ソフィアWOW!」の第2弾はもちろん、他にもさまざまな体制づくりが喫緊の課題です。人事評価制度や、スタッフ育成プログラムの見直しなども並行して検討しています。

宗 「在宅医療は決して楽な仕事ではありません。ですが、お客様が自宅で過ごすことで、病院よりも穏やかに、その人らしく生きていく姿に寄り添い、そのお手伝いができるという、すばらしい意義とやりがいのある仕事です。
スタッフの皆さんは、ソフィアメディの理念やビジョンに共感して集まってくれているので、その想いを裏切らないような環境を、会社としてつくっていきたいと考えています」

当社のミッションは「英知を尽くして『生きる』を看る」です。これはお客様の病気だけでなく、生き方、在宅で生きる姿をしっかり看るという意味です。

ですが、このミッションは、お客様に限った話ではないと私たちは考えています。看護師、セラピストなど、スタッフ一人ひとりの「生きる」を会社が「みて」いるのです。バックオフィスのスタッフまでがそこをしっかりと意識し、「『生きる』を看る」というミッションに向き合っています。

今後、2025年までは高齢者が増え続けます。私たちソフィアメディは、その先も見据えながら、多くの人の「生きる」に貢献していきます。

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