2021年の1月から従業員の拠点集約が本格的に始まり、同年3月から新オフィスの全面利用が開始されました。“ニューノーマル=コロナ対応”ではない、将来対応を見据えた余白のある空間づくりが必要だと考え、それにはコミュニケーションを誘発するイノベーティブな空間が必要だと考えました。
オフィスの機能は「仕事場」から、多様な人財がパフォーマンスを発揮し新たなアイデアやイノベーションを生み出す「エンゲージメントを高める空間」「コミュニケーションする空間」に変わると考えました。例えば、1フロアには社員が誰でも使える公園のような場所を計画しています。
中川 「当社が『歓びと感動』をお届けし続けていくためには、不確実な時代でもインスピレーションを生む場所が必要だと考えています。お客様に対しても、遊び心やサステナビリティなど、幅広い視点から提案できるようにするためです。
新オフィスに作成したコミュニケーションスペースの『RESET SPACE_2』では、森林保護を伝える国産材の家具や、双六テーブルなどオリジナルの什器、ユニークな社員を数珠つなぎで紹介していく『ユニーク・ピーポー・セレクション』などを入れ、インスピレーションを刺激する工夫をしています」
2021年9月現在、RESET SPACE_2は従業員やお客様の利用を含め、1日で300名ほどに利用されています。あえて使う目的を決めないことで、さまざまな効果が見え始めました。
中川 「社内的な効果としては、働く場所が自席だけでなく自由に選べるようになったので、可能性が広がったことが挙げられます。また、グループ会社の従業員が物理的に近くなったこともあり、コミュニケーションが取りやすくなりました。
社外的な面では、社外からの見学が161社・617名、60件以上のメディア(※)に取り上げていただき、新オフィスに対する注目があることを実感しましたね。コロナ禍という状況下でオフィスをリニューアルした事例が少ない中、オフィスがどう変わっていくのかに、メディアの皆さんは関心を持たれていたようです」
※数字は2021年12月時点
メディアやお客様からは、「このオフィスは他の会社でも通用するのか?」と聞かれることがあると語る中川。この問いかけに対して、中川は次のように話します。
中川 「コミュニケーションの活性化やアイデアの誘発は、どの企業も感じている課題だと思います。当社としても、RESET SPACE_2によって偶発的なコミュニケーションを生みたいといった気持ちがありました。そういった意味では、RESET SPACE_2は当社だけでなく他の企業の課題解決につながる場所でもあります。
世の中の一般的な課題と、オフィス運営を通して当社が取り組んでいることが、他の企業様にも参考になっていると思います。さまざまなメディアに取り上げていただいたのも、多くの企業が持つ課題感とマッチしているからではないでしょうか」