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WORKSTORYAWARD2021

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一次審査通過ストーリーを公開しています。

社員がつながり、支援し合う。「自分の活かし方」が見つかる社内コミュニティ

パーソルキャリア株式会社/「タニモク」プロジェクトチーム
“人々に「はたらく」を自分のものにする力を”をミッションに、人材紹介サービス、求人メディアの運営などを行っているパーソルキャリア株式会社。社員がつながり、相互支援する職場環境の実現に導いたプロジェクトについて、ミッション推進部プロデューサーの三石 原士と、人事・組織開発の小松 由が語ります。

コロナ禍のリモートワークで浮かび上がった組織課題

▲他人に目標を立ててもらうワークショップ 「タニモク」

パーソルキャリアでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年4月から本格的なリモートワークが始まりました。そうした中で社員同士のコミュニケーションの減少や、中途入社の社員が孤立してしまうなど、「社員同士の関係が希薄化している」という課題が浮き彫りになってきました。

三石 「リモートワークが始まった当時、社員からは『中途入社した社員がチームになかなか溶け込めない』『気軽に相談できる人がいなくて業務が停滞してしまう』『新卒社員が同期と交流できていない』といった声が寄せられました。コロナ禍が長期化するにつれ、こうした課題が浮き彫りになってきたのです」

リモートワークが加速し、社員の異動や入社が増えるごとに状況は悪化。そこで人事部は、社員同士の希薄な関係を改善するために、より丁寧なOJTや1on1ミーティングの導入を始めました。

小松 「1on1やOJTで縦の関係は改善することができました。しかし、メンバー間のコミュニケーションの活性化にはいたりませんでした。

他者とのコミュニケーション不足により、自分自身のキャリアや仕事の意義を考えたり、悩みを誰かに相談できずに孤独を感じてしまったりする社員もいて、こうした状況に危機感は募るばかりでした」

こうした課題を解決するために、人事部が注目したのは3〜4人が集まって参加者同士で目標を立て合うワークショップ「タニモク」です。今回のプロジェクトの軸でもある「タニモク」は、他人に目標を立ててもらうことで、自分では気づかなかった新しい可能性や選択肢の発見を目的としています。

2020年7月の社員総会では、三石が「タニモク」のプレゼンテーションを行う機会があり、社員からも参加してみたいという声があがったといいます。

三石 「コロナ禍で完全リモート勤務になって、社員も漠然とした不安を感じていたこともあり、社内で『タニモクを取り入れてみよう』となりました。しかし、私一人では手が回らず、そんな様子を見て、小松がジョインしてくれることになり、本当に助かりました」

社員総会での声が後押しとなり、リモート環境に左右されずに、チームが信頼関係でつながり、「社員がもっと生き生きと働ける環境をつくりたい」という想いから、2020年9月にプロジェクトがスタートしました。

「タニモク」をフォローするために生まれた「モクサポ」

▲コロナ禍以前に行っていたワークショプの様子

「タニモク」は多くの企業や学校でも導入されています。ですが、三石は「タニモク」を導入するにあたり、ある課題が見えてきたといいます。

三石 「『タニモク』を実施している他社事例を見ている中で、2つの問題が起きることがわかってきました。1つ目は、目標に向けて積極的に行動しても周囲の理解が得られずに、タニモクに参加していない社員から白い目で見られてしまうという点。

2つ目は、1つ目の課題が原因で行動を阻害するような環境になり、社員のモチベーションが下がってしまうのではないか、という点です。これは他社での実証実験でも数字に表れていました。そのため、組織に導入するのであれば、『タニモク』後のフォローや実践を支援する仕組みが必要であると考えていました」

これらの課題を解決するため、三石は「タニモク」の組織導入実績があるにこフル代表の中村 悟氏にコンタクトを取り、プロジェクトに参画してもらうことになりました。

三石 「今までの『タニモク』では、限られた時間の中で現状を伝えるため、表面的な課題やもやもやを相手にオープン開示して、目標を立て、フィードバックをもらうという構成でした。しかし、その目標に対して、何に共感できてワクワクするのかという自己認知がないと、ワークショップで出た目標を選択できないということに気づきました。

中村さんは以前、Yahoo!アカデミアで『タニモク』を取り入れた組織開発を行っており、『タニモク』に知見があります。そこで、中村さんの知恵をお借りしながら、『自身の働きがいややりがいは何か』を他者に見つけてもらうためのワークショップも企画しました」

そうして、「タニモク」をフォローするためにできたのが「モクサポ」です。

「モクサポ」は、目標を立て合った社員同士が部門間を超えて目標を共有し、行動を支援するコミュニティです。Teamsで運用され、「タニモク」ワークを行った社員同士が、行動に対するフィードバックを行い、「モクサポ」参加者の新しい目標や行動を後押しすることを目的としています。

こうして完成した「タニモク」✕「モクサポ」は、トライアルで実施。パーソル総合研究所の協力のもと、「はたらく幸せ/不幸せ診断」による意識変容・行動変容ともに定量面でも関係改善につながることが実証できたため、社内で参加者を正式に募集することになりました。

参加者の口コミで広がる「タニモク」✕「モクサポ」

▲社内で「タニモク」を初開催したときの様子

2021年2月に実施された、「タニモク」✕「モクサポ」のキックオフでは20名の社員が参加。

プロジェクトの流れは、はじめにアンケートを実施し、「タニモク」ワークショップで目標を立て合い、目標と行動をTeamsでシェア。その後、「働きがい」ワークショップで、それぞれが働きがいをシェアし、自分の「好きなこと」「得意なこと」「役立てること」を言語化することで自己認知を高めます。

実施直後に2回目のアンケートをとり、1カ月後に3回目のアンケートを実施。このようにして三石はワークショップ一連の効果を検証しました。

三石 「参加者の目標や行動がTeamsで共有されているので、『詳しい人を紹介するね』『こんな方法があるよ』と、目標に向けて周囲が動いてくれるようになり、気づけば目標達成できているということもあります」

周囲のサポートもあって、中には短期間で目標達成した参加者もいたといいます。実際に体験したことで大きな効果を実感でき、そうした参加社員らの口コミによって徐々に社内に浸透していきました。

小松 「日々悩んでいるのに一歩踏み出せない社員が、勇気を持って参加してくれたとき、最初は苦しい、しんどいといっていても、ワークショップが終わる頃には笑顔になっていて、他部署にも知り合いができて嬉しいという反応も見られました。

また、数カ月後に自己実現につながった、自身を活かせる部署に異動できた、自身の強みを見つけることができたなど、プロジェクトを通して一人ひとりに行動変容が見られるのがとても嬉しいです」

2021年12月現在、ワークショップの実施回数は10回、参加者は120名になりました。また、参加者が主体となり、地方社員向けのイベントも開催。その結果、1年目の社員が「ルーキー賞(年間新人賞)」を受賞するなど、お互いのパフォーマンスを高め合う効果も生まれています。

会社全体に広がりを見せる「タニモク」✕「モクサポ」の未来

▲「はたらきがいワークショップ」を実施したときの様子

2021年2月、「タニモク」✕「モクサポ」のコアメッセージを作成し、会社全体に向けて発表。メインテーマ「みつけてもらおう、自分の活かし方」が決まったときのことを、小松は次のように語ります。

小松 「コアメッセージが決まったとき、活動の目指す場所が明確になったと感じました。社内を見渡せば、8〜9割の社員は自分の活かし方が見出せずに悩んでいます。

活動に参加して、仲間を見つけ、次の一歩を踏み出したり、自分の活かし方を見つけてキャリアにつなげたり、みんなに見出してもらった自身の強みを活かしてほしいと思っています」

コアメッセージが決まり、参加者も増えてきた2021年12月。有志でスタートしたプロジェクトでしたが、活動に共感し、応援してくれる社員が増えた結果、約1,500名が所属する当社最大の事業部に導入することになりました。

三石 「当社最大の事業部に導入するために、どのような形がいいのか現在計画を立てています。社内で一番大きな事業部なので、働く人もさまざまです。人にはいろいろな選択肢や可能性があり、一人で悩むのではなく、仲間の目を介することで、未来が広がることを知ってほしいですね。

『キャリアは運だ』という人もいますが、キャリアは自身の行動によって選択できるし、働く環境を良くすることもできます。本プロジェクトを通して、新たな働き方や選択肢が生まれたらいいなと思っています」

他人と目標を立て合い、コミュニティで応援し合うことは、今まで気づかなかった自分の本心や伸びしろを知る貴重な経験だとプロジェクトメンバーは考えます。本プロジェクトが世の中に広がることで、個人のやる気と組織の生産性の向上にも貢献できると信じ、今後も社内外に向けてメンバーらは活動を続けていきます。