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WORKSTORYAWARD2021

これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2021」の受賞ストーリー、
一次審査通過ストーリーを公開しています。

完全テレワークで叶うワークライフバランス ── 自分たちで守る快適な働き方

かっこ株式会社
「未来のゲームチェンジャーの『まずやってみよう』をカタチに」という経営ビジョンを掲げているかっこ株式会社。新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークへの移行も、まずはやってみようという気持ちで取り組みました。完全テレワークへ2日で移行した当社が直面した課題と、解決の先に見えた景色をご紹介します。

週1回のテレワークから、完全テレワークへ移行

▲テレワーク中のかっこ株式会社の社内

かっこ株式会社では、2019年11月から週1回のテレワークを実施していました。テレワークを利用するには事前申請が必要で、かつ11:00〜16:00のコアタイムありというスタイルです。しかし、テレワークを実施している社員は限られており、全メンバーに浸透している状態ではありませんでした。

そんな中、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、政府から全国の小・中学校、高校に対し、一斉臨時休校が要請される事態に。当時の状況を専務取締役 管理部門管掌CFO 関根 健太郎はこう振り返ります。

関根 「かっこには、共働きや子育て世代のメンバーが多数在籍しています。保育園や学校が休校になれば出勤することが難しくなり、働けなくなるメンバーが出てきてしまいます。そうなってしまっては、業務が回らなくなってしまうのは明白です。

そこで、以前から実施していた週1回のテレワークの制度を改定することにしました。事前申請、コアタイム、週1回の利用制限を廃止し、完全テレワーク体制を実施することにしたのです」

臨時休校の要請を知ったのは、2020年2月27日。翌日には役員会議で完全テレワークについての業務上の不都合を洗い出し、社内ルールを決定。3月2日から完全テレワークへと移行しました。

リモートでもアイデア次第でコミュニケーションが取れる

▲料理好き社員が開催する大好評のオンライン料理教室

短期間での完全テレワークへの移行だったこともあり、次第に情報漏洩等のセキュリティ問題、コミュニケーションロスなどが課題として浮上してきました。

関根 「その中でも特に課題だったのは、インターン生にテレワークで業務を行ってもらう際のセキュリティ面です。テレワーク以前より、社員にはセキュリティソフトなどをセットしたパソコンを会社から支給していたため、今回の完全テレワークでも問題はありませんでした。

しかし、主力として活躍する20名ほどのインターン生は、シフト制の勤務だったため5台のパソコンを共有して使用していました。完全テレワークに移行すれば、彼らにもひとり1台のパソコンが必要です。

ですが、新たにパソコン20台を購入するとなると、コストが大きい。かといってプライベートで使用する個人のパソコンを使用するとなると、セキュリティに問題が出てきます。

そこで、個人のパソコンに仮想デスクトップを導入することにしました。仮想デスクトップは、サーバー側に共有データや個人のデータ、アプリケーションなどを管理できます。個人のパソコンからサーバーにアクセスすれば、サーバー上でデータのやりとりをすることができるので、新たに会社用のパソコンを導入せずとも仕事ができます。

また、個人のパソコンにデータが残らないので、安全な環境で業務ができるシステムです。こうすることで、セキュリティ面もクリアできました」

一方、コミュニケーションロスの課題は、社員による自発的な行動が解決の糸口になりました。

関根 「月に1度のオンライン全社ミーティングや部署が違う社員とランチをするオンラインランダムランチなどでコミュニケーションロスを解消しています。これは社員が自発的に企画してくれたものです。

インターン生から『オンラインだと相手の状況がわからないため、質問しにくい』といった声を受けた際は、ビデオ会議をつなぎっぱなしにし、オフィスにいるようにいつでも話かけられる環境も社員の発案で作り出しました」

コロナ禍前にはオフィスのカフェスペースで餃子を包んだり、炊き立てのごはんをみんなで食べるランチなど、食を通したリアルなコミュニケーションを楽しんでいたかっこ。テレワーク移行後は、それらに代わる場として、オンライン料理教室を実施しました。

関根 「料理好きなメンバーが、実際に料理をする手元を映しながらオンラインで手順を実況します。料理をする場所はオフィスだったり、メンバーの家だったりとさまざまです。オンラインでもリアルに劣らないコミュニケーションが取れるとメンバーからも好評ですね」

ワークライフバランスがもたらす、さまざまなメリット

▲プロボクサーになる夢を叶えたボーニ・フェデリカ

完全テレワークになったことでワークライフバランスが良くなり、社員たちの働きがいも向上しました。人事部のボーニ・フェデリカは、とくに子育て中のメンバーから嬉しい声があがっているといいます。

フェデリカ 「これまで奥さんに任せっきりだった保育園のお迎え、家事などを自分ができるようになり、子育てにより多く関わるようになったというパパ社員。旦那さんの転勤があり、遠方へ引っ越すことになったが、テレワークのおかげで働き続けられる、といったママ社員など、多くのメンバーから仕事とプライベートの両立ができるようになり、充実しているといった声がありました」

フェデリカ自身も充実した日々を過ごす社員のひとり。夢であったボクシングのプロテストに2021年1月に合格、2021年6月にはデビュー戦を果たしました。

フェデリカ 「テレワークになったことで、今まで通勤に費やしていた時間に走り込みをしたり、早い時間からジムに通えたりと、練習時間が増えました。

今までは仕事とボクシングの両立に、少し無理を感じていた部分があります。疲れがとれていなかったり、睡眠不足であったりして、なかなか集中できないこともありました。

でも、テレワークでは疲れを感じたら朝走るのをやめて、日中仕事をし、夜しっかりトレーニングするなど調整ができるので、仕事もボクシングも良いパフォーマンスが出せているのだと思います」

国境を超えた優秀な人材の確保も可能に

▲国境を超えて繋がれます

完全テレワークは人材採用の面でも良い影響を及ぼしました。

関根 「これまでは原則出社の勤務体制だったため、関東地方在住者の採用がメインでした。しかし、テレワークとなった今では、全国のみならず海外からの受け入れが可能です。

実際にテレワーク勤務可能とした求人を開始したところ、1年で平均求人倍率が約32倍と大幅にアップしました。今ではマレーシア在住のインターン生、アルゼンチン在住の社員など、世界中からかっこにジョインしています」

フェデリカ 「テレワーク勤務可能としたことで、子育て中のママからの応募も増えました。オフィスに出勤するとなると、保育園の関係などで仕事ができないが、テレワークであれば仕事ができるのでぜひ働きたいといった方が多くいらっしゃいました。

柔軟に働ける環境は子育て世代のニーズにも応えられ、より多様な人材の活躍を支援できているのはないかと感じています」

社員が夢を叶えたり、理想の働き方を実現できたり。こうした働き方を支える完全テレワークを行うには、積極的な環境整備が必要最低限の条件。在宅勤務に必要なツールを揃えることが会社として一番重要なことだと関根は言います。

関根 「不便、クオリティが低い、となると、テレワークは定着しません。例えばオンライン会議でマイクの調子が悪く声が聞こえない、となると、『やっぱり会議はリアルでしないとね』となってしまいます。

そのため、モニターやオンライン会議用のヘッドセットなど、在宅勤務に必要なものへの費用は惜しみません。

また、ルールやモラルを守らなければ、自分たちが不自由になるということも、社員一人ひとりが理解しておく必要があります。テレワークやフレックスタイムは自由度の高い働き方ですが、全てが自由であるわけではありません

そうした意識を維持するために、当社では定められたルールや当たり前のモラルを守らないメンバーがいたら、在宅勤務の適用を解除する規程を定めています。会社がテレワークを続けていくには、便利で快適なテレワークの制度を自分たちで守ろうという雰囲気を醸成することが大切なのです」

今後は在宅でのテレワークだけでなく、自分の好きな場所で勤務可能なモバイルワークの導入も検討しています。より自分らしい働き方の追求や、働きがいのある就労環境の整備を、かっこはこれからも追求していきます。