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自分らしく生きる世界の実現へ──アスリートのためのデュアルキャリア

株式会社ホワイトプラス / バリュー策定プロジェクトチーム
ブランド品などのリユース事業を展開するバリュエンスホールディングス株式会社では、アスリートのデュアルキャリアを支援する取り組みを行っています。多くのアスリートが競技人生も、引退後の人生も不安を感じることなく過ごせる環境作りを目指すバリュエンスが挑戦する、デュアルキャリア社員採用への想いをご紹介します。

アスリートと社会人、どちらも並行して取り組む働き方を

▲社外リリース記事のアイキャッチ画像

デュアルキャリアとは、アスリートが競技を続けながら企業などで社会人として仕事をする働き方です。バリュエンスホールディングスの代表 嵜本 晋輔はこのデュアルキャリア採用へ強い想いを抱いています。

嵜本は高校卒業後、Jリーグ「ガンバ大阪」へ入団。Jリーガーになる夢を叶えました。ところが、22歳の若さで戦力外通告を受け、当時のJFLのチームへ移籍するも1年で現役を引退。大きな挫折を味わいましたが、サッカー人生から前向きな撤退を遂げ、事業家へと転身しました。

アスリートとして夢を追い続けることの素晴らしさと、それを現実とすることの難しさの両方を経験しているからこそ、「一人でも多くのアスリートが、将来に不安を抱くことなく、今に夢中のままでいてほしい」と強く願う嵜本。

この想いを形にし、アスリートを支援するため、バリュエンスでは2020年9月から、アスリートのデュアルキャリアを本気でサポートしていく活動を開始しました。

デュアルキャリア採用をはじめるにあたって、まずはアスリートへの周知に課題があったと人事部の佐伯 凌平は振り返ります。

佐伯 「デュアルキャリアという働き方を認知している方が少ないため、まずは知ってもらうことから始めなければなりません。

また、『現役中は競技に集中すべき、その後のキャリアは引退してから』と考えるアスリートが多いのが現状です。そのため『仕事も競技も並行して本気で取り組む』ということへの共感も必要でした」

まずはデュアルキャリア周知のため、デュアルキャリア採用専用のLP(ランディングページ)を作成し、自社のホームページへ掲載。さらに、嵜本の繋がりから日本プロサッカー選手会のパンフレットにデュアルキャリア採用について掲載させていただいたり、嵜本自身もインタビューなどでメディアを通してデュアルキャリアについて発信したり、できる限りのアプローチを始めました。

佐伯 「求人サイトにも掲載し、デュアルキャリア採用を行っている会社のひとつとして、その想いを伝えることを意識しました。積極的に発信することで、デュアルキャリア採用をしている会社だと認識してもらえ、コンタクトをとってくださる方が増えていきました」

バランスの取れた両立のために。練習時間に合わせて勤務時間を調整

デュアルキャリア採用の取り組みが広まり、入社を希望するアスリートが徐々に増えていきました。選考では、会社とアスリートのミスマッチを防ぐため、通常の中途採用選考では行っていない「カジュアル面談」を実施。競技にかける想いや、今後どのようなキャリアを形成していきたいのかを丁寧にヒアリングするようにしました。

佐伯 「これまでアスリートの方と面談をする中で、約半数の方がスポンサー契約を求めていることがわかりました。スポンサードするとなると、当社が目指しているデュアルキャリアとは異なります。

その際は競技にどこまで専念するのか、いつデュアルキャリアについて考え始めたらいいのかなどを丁寧に話します。最終的に面接選考を辞退される方も多くいらっしゃいますが『今まで事業会社の方と対話する機会がなかったので、自分の考えを整理する貴重な時間になった』と嬉しいお言葉もいただきました。

また、面談をする中で多くのアスリートが、現役引退後のキャリアに不安を抱えていることもわかりました。

例えば、競技を続けるためにコーチの仕事もしているが、それがビジネスの世界で通じるのか、という悩みを持っている方がいらっしゃいました。コーチ業はある意味、競技の延長線上にあるもの。そうした背景もあり、その方は現役引退後にビジネスの世界で通用する、営業や事務などの仕事をしたいと強く希望されていました」

また、デュアルキャリアを希望するアスリートとのカジュアル面談は、1度だけではなく、時間をかけて何度も行います。

佐伯 「アスリートと会社、双方が良い選択になるよう、どのタイミングで入社するのか、どのようなポジションで仕事をするのか、コミュニケーションを取りながらじっくり行っています。アスリート一人ひとり、稼働できる時間、日数が違いますから、その方に合った働き方を一緒に考えていきます」

周囲も巻き込む、デュアルキャリア社員の熱い想い

▲デュアルキャリア社員の働く様子

入社の際はアスリートの希望を最大限に考慮し、その人に合った仕事や雇用条件をオーダーメイドでアレンジ。仕事内容はもちろん、勤務日や時間帯などもそれぞれ異なります。

しかし、受け入れる側の部門は当初、このような働き方に難色を示していました。

佐伯 「勤務時間が短いことで入社後の研修がとれないこと、そもそも競技者として長く活躍されているがゆえに、ビジネスマナーやパソコンスキルなどの点でつまずかないかなど、受け入れる側としての不安も多くありました。

しかし、何事もやってみないとわかりません。『一緒に働いてみてどうなるか、とにかくスタートさせませんか?』と、粘り強く協議していきました」

調整を重ね、受け入れ体制が整った部門から採用をスタート。すると、入社後に活躍するデュアルキャリア社員の姿をみて、自部門でも受け入れたいという要望が増え始めました。

佐伯 「一般採用の社員から遅れを取らないように、研修チーム全体で協力しながら研修スケジュールを変更したり、進捗確認したりと、細かくフォローを行いました。

それに応えようと懸命に働くデュアルキャリア社員の姿に、多くの社員に意識の変化が起きたのだと思います」

実際に働いているデュアルキャリア社員は、トップアスリートに限らず、社会人リーグに所属するアスリートなどで、種目もサッカー、バスケ、ボクシングなど多岐に渡ります。

佐伯 「デュアルキャリア社員からは、安定した収入を得ることで『食生活の質が上がった』『経済的な不安を感じなくていいので、競技に専念できる』といった声があがっています。仕事をすることで競技へのパフォーマンスが下がるのではと思われがちですが、むしろ上がっているのです。

2つのキャリアを並行するデュアルキャリアには、多くのメリットがあるとデュアルキャリア社員を通して実感することができました」

アスリートだけでなく、すべての人がデュアルキャリアを選択できる社会へ

2021年には85名のアスリートと面談。そのうちデュアルキャリアという働き方を希望し、最終面談に進んだのが45名、その中から14名が採用となりました。彼らデュアルキャリア社員の活躍は、一般社員へも大きく影響していると人事部責任者の大西 剣之介はいいます。

大西 「一般社員については、各々の役割の範囲で仕事に取り組んでいるものの、普段からプロ意識をもって自己研鑽し、仕事を高度化、効率化していくという点では改善の余地があると感じていました。

しかし、デュアルキャリア社員が配属され、彼らが熱い想いを持って働く姿を見て、周囲もどんどん巻き込まれていると感じています」

デュアルキャリア採用を実施するにあたり「高いプロ意識を持ったアスリート」と「仕事に専念するビジネスパーソン」の融合は、お互い良い機会になりました。

佐伯 「デュアルキャリア社員とともに働くメンバーに、一緒に働いていてみてどう感じたのかを面談でも聞いています。すると『バリュエンスの社員として、とても力になっている』という声が多く上がりました。

デュアルキャリアは競技も仕事も、全力で取り組む働き方です。『力になっている』という言葉は、デュアルキャリア社員がいかに真剣に仕事に取り組んでいるかの表れです。それは数字として、実績にも反映されています。

その結果、一般社員も仕事に対する意識が変わってきており、お互いに良い刺激を与え合っていると感じています」

さらに今後は、既存社員を含めた一般社員、そして社外にもデュアルキャリアの概念を広げていくと大西は前を見据えます。

大西「アスリートに限定せず『何かにチャレンジしながら、仕事も全力で取り組んでいきたい』という方であれば、ジャンルを問わずに働くことができる会社にしていきたいと思っています。

正社員の週4日勤務や、週3日は人事部で週2日は営業部で働くといった社内デュアルキャリア制度など、自分らしく生きる人が一人でも増えていくような仕組みを積極的に導入していく予定です」

また、バリュエンスだけでなく、デュアルキャリアを受け入れる会社が増えていくことを目指しています。

佐伯 「実際にデュアルキャリア採用に取り組むことで、改めて多くのアスリートが引退後のキャリアについて不安を抱え、デュアルキャリアという働き方を求めていることを体感しました。デュアルキャリアという働き方の受け皿がもっと増えれば、バリュエンスが掲げる『らしく、生きる。』世界を実現できると思っています。

そのためにはまず、バリュエンスで働くデュアルキャリア社員を見て、多くの企業に『デュアルキャリア採用をやってみたい』と思ってもらうことが一番だと感じています」

既存の概念にとらわれることなく、さまざまな方法で自分らしく生きる世界の実現に向けて、バリュエンスはこれからも進んでいきます。