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WORKSTORYAWARD2021

これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2021」の受賞ストーリー、
一次審査通過ストーリーを公開しています。

合同リモートワーク「ローカル・ハブ」を通して見えてきた、人との新たなつながり方

株式会社ガイアックス
株式会社ガイアックスでは、コロナ禍をきっかけに社員の9割がリモートワークへ移行しました。それによるコミュニケーション不足が起こる中、社員の有志で始まった取り組みが合同リモートワーク「ローカル・ハブ」です。これまでの活動を、ブランド推進室メディア編集長の遠藤 桂視子が振り返ります。

コロナ禍でメンタルの不調を訴える社員が増加

▲社員の有志活動から生まれた合同リモートワーク「ローカル・ハブ」

ガイアックスでは、以前から、自社ビル「Nagatacho GRiD」への出社か、リモートワークで働くかを選べる仕組みが導入されていました。

しかし、2020年春からの新型コロナウイルスの流行をきっかけに、ガイアックスでも社員の約9割がリモートワークへの移行を余儀なくされます。

直接会って会話をする機会がなくなり、 缶詰状態になりながら自宅で仕事をする状況が長期化するにつれ、メンタルの不調を訴える社員が増えていきました。心理的疲労の蓄積や、コミュニケーション不足による摩擦から、人間関係のストレスが生じるようになっていたのです。

産業医へのメンタルヘルス面での相談件数は、コロナ禍以前と比べて4倍にも膨れ上がりました。

こうした状況がある一方で、社員たちも2020年の末頃から、横浜近郊に住む社員同士で合同ランチ会を開催するなど、つながりを取り戻すための活動を自主的に行っていました。この活動がきっかけとなり始まったのが、合同リモートワークを行う取り組み、「ローカル・ハブ」です。

逗子・葉山に移住した社員の勧めもあり、開催する地域は葉山と東京の2箇所に決定しました。

開催場所になっているコワーキングスペースでは、集まった社員と一緒に、海やスカイツリーを見ながら働いたり、ランチをとったり、自然の景色を楽しんだり、感動を共有しながら非日常を味わえます。

普段のリモートワークでは得られない人と人のつながりを感じられるリアルなコミュニケーションや、非日常の体験を通したリフレッシュ効果が狙いでした。

狙いは当たって、自然豊かな移住先に土日に限らず、平日にも社員が集まり、有志の活動も行われるようになりました。

半年間で延べ70人が集まった、葉山と東京での「ローカル・ハブ」

▲葉山エリアの会場となった「一色BASE」

「ローカル・ハブ」は、半年間に2拠点で合計10回開催しました。私が担当したのは葉山エリアで、会場に選んだのは、「一色BASE」という地元で人気のカフェスペースでした。

ここは、葉山に住んでいる当社代表の上田 祐司から以前教えてもらったところで、一度会場の候補として下見に訪れたのですが、リモートワークの環境に適した、これ以上ない場所でした。

というのも、まず電源やWi-Fiなどの環境が整っている上、席に仕切りもされていて、感染症対策が万全なんです。さらに、1階には朝8時から使えるカフェスペース、2階には6畳くらいの広さの和室があり、2フロアに分かれている点も、テレビ会議をする社員がいるため好都合でした。そして何より、浜辺まで徒歩5分といった立地が素敵な場所だったのです。

「ここならみんなが快適に過ごせるのではないか」と感じ、早速、オーナーさんに葉山で合同リモートワークの企画を考えていると相談しました。すると、「それならうちでやったら?」と快く引き受けてもらえて、一気に話が進みました。ご厚意により破格の条件で貸していただけたことも、とてもありがたかったです。

会場が決まった後、会場の良さとともに合同リモートワークの開催を社員に告知しました。その結果、社内だけでなく、社外の業務委託メンバーや社員の友人も参加し、半年間で延べ70名が参加してくれました。リピート参加者も複数いて、もっと多くの方に参加してもらいたいんですが、快適に行うためにも毎回10名ほどにとどめています。

誰もが参加しやすい場にするため、社内のムードメーカー的な人にも積極的に声がけしました。「あの人が行くなら私も行ってみようかな」という雰囲気づくりも、好反応につながったのではないかと感じています。

非日常でのつながりが生んだメンバー同士の絆

▲海岸で夕日を眺めながら雑談するひととき

“人と人をつなげる“をミッションに掲げているガイアックスですが、もともと、年に1回合宿を行う文化がありました。しかし、コロナ禍で社員同士がオフラインでコミュニケーションをすることが難しくなり、合宿より高頻度に、何か代わりにできないのかという話が出て、ローカル・ハブの企画へとつながりました。

ガイアックスの社員は、雇用形態が正社員からパート・アルバイト、業務委託までさまざまですが、普段からとても忙しくしていて、リフレッシュの時間がなかなか持てないという共通の課題があります。

そのためリフレッシュの機会は貴重ではあるものの、一部には、葉山までわざわざ時間をかけて行く価値があるのか、楽しく成果を出せるのかと、疑問に感じる人がいることも始まる前から予想していました。

ですが、予想を裏切り、参加者から寄せられた声の多くは、「行ってみて良かった」「最高でした」という好意的なものでした。

特に、葉山在住のガイアックス代表上田の家に遊びに行かせてもらった回は、かなり好評でした。ご馳走を振舞ってもらったり、屋上で綺麗な夜景を見たり、そのまま泊めてもらって、翌日にはサップなどマリンレジャーを楽しんだメンバーもいましたね。

偶発的な雑談をする機会を在宅のリモートワークで創出するのは、難しいものです。ましてや代表と雑談する機会はほとんどないですよね。

自然豊かな環境から生まれる「場の力」を借りることによって、お互いの新たな一面を垣間見る機会をつくれたのは、とても大きい成果でした。

オフラインでのつながりはコミュニケーションの余韻が残ります。実際に、後日、業務上においても「代表とのコミュニケーションが円滑になった」という声も参加者から上がりました。

これは参加者が心身ともにリフレッシュしたのはもちろん、仕事上の「役割でのつながり」から、お互いの理解や信頼につながる「人と人とのつながり」を創出できた結果だと感じています。

小さなつながりの継続が大きなブレイクスルーに

▲ドローンの撮影方法をスキルシェア

「ローカル・ハブ」の実施にあたっては、感染症対策で人数制限をしているため家族づれの人はいませんでしたが、恋人同伴で来た人はいました。似たような仕事をしていて感性が近い人と意気投合し、参加が決め手となって、業務委託で新メンバーとしてご縁がつながった人もいます。

採用後に「あの時の体験が、ガイアックスに興味を持つきっかけになった」と答えてくれた人もいましたし、採用したい人を連れてきてもらったケースもありました。

オンラインだとどうしても人との結びつきが希薄になりがちですが、ワーケーションへのゲスト参加をしてもらうことで、自分が好きな会社かどうか、仲良くやっていけそうかをお互いに確認しあえるのは大きいと思います。つながりができれば、人となりがわかり、仕事を依頼するのもスムーズです。

今回の取り組みを通じて、部署を越えた協業機会の創出、事業部のマッチングによる部署移動、業務スキルのシェアの面でも可能性が広がりました。さらには新しい形でのエンジニア採用イベントの開催、内定者の内定承諾の円滑化、事業参画候補となる社外メンバーの発見など、数多くの成果がありました。

社内外を超えた新たな出会いや人とのつながりが確実に生まれており、小さなつながりの継続が大きなブレイクスルーを生み出していると実感しています。

ガイアックスでは、「ガイアックスの働き方」を深く知るオンライン座談会を毎週開催しています。「報酬は自分で決める」「上長に拒否権のない部署異動」など、ユニークな働き方について現役メンバーが直接解説します。

ガイアックスで働くことに興味を持ってくださった方に、ぜひ現場目線のリアルな働き方を知ってもらいたいです。

一人ひとりが最大限に力を発揮できる、そして自分らしく働ける。そんな社会を、これからも創っていきたいと思います。