こうして、2017年4月にみんなのコードへ入社し「プログラミング教育指導教員養成塾(以下、「養成塾」)」プロジェクトのメイン講師として活動しました。これは、小学校教員に「プログラミングの教え方を教える」研修です。
小学校の現場で、これまで誰も教えたことがないプログラミングこそ、教え込む指導ではなく「子ども自身の成長する力を信じて、大人がそれを引き出す」スタンスが大切だと考えた私は、この考えを伝えるために養成塾の講師として全国を駆け回りました。
3年間取り組んだ養成塾を通して、全国2,100名の小学校教員とのつながりを構築することができました。養成塾に参加した先生方は、現在各地の中心人物として地域のプログラミング教育を引っ張っていく存在になっています。
加えて、2021年8月には、小学校女性教員向けプログラミング人材養成塾「SteP」を開始しました。養成塾卒業生の女性教員がメンターとなり、企画・設計段階から参画するというものです。養成塾卒業生が、次は教える側として授業を行う姿に胸が熱くなりましたね。
こうして、子どもたちと向き合う仕事から、全国の先生方と向き合う仕事へと働き方は大きく変わりましたが、教育という視点からすれば本質的なところは変わりません。
私が大切にしている本質とは、子どもも大人も、学んだことを自分ごとにするためには、アウトプットが必要だという点です。環境や相手が変わることによって、大切なことが見えてきたのは大きな収穫であり、自分の成長にもつながりました。
また、教育という観点だけでなく、自分自身に対する気付きもあったのです。コロナ禍のリモートワーク移行後、私は全社会議で司会進行役を得ました。教員時代に毎日朝の会、帰りの会をやっていたため、自然と司会力が身についていたのでしょう。
みんなのコードでは自分の力を最大に活かせている実感があり、多くの場面で適正かつ効率的な働き方を実現することができていると感じています。このような姿を見せたことが、のちに、元小学校校長や中学校教員、高校教員と、計4名の元教員が入社するきっかけになったかもしれません。
みんなのコードは元教員だけでなく、公教育を変えようという志を持つ、チャレンジ精神あふれる若手メンバーに、エンジニアや事業開発・ファンドレイジングなど、さまざまな職種のメンバーが集まる組織です。年齢や役職にかかわらず、発案者のアイデアが採用され、次々と新しいプロジェクトが立ち上がるクリエイティブな環境です。
さまざまな意見を取り入れ、お互いが理解しあい、協働することで事業をつくっていく。これも、学校の中だけでは経験できないことです。