ヘンズツウ部の発足を決めたものの、立ち上げは簡単なものではありませんでした。
山縣 「ヘンズツウ部を発足するにも前例がなく、『いつ集まるのか?』『どのように活動するのか?』という問題が浮上したんです。また、この活動を社内で認めてもらい、社外にも広めていくには、“バリュー”と“一定の成果”が必要でした。そこで、ヘンズツウ部の活動開始前後で社内調査を行い、社員の意識変化をスコア化することで成果をみえるようにしました」
当初は片頭痛だけに特化した活動でしたが、議論が深まっていく中で、ヘンズツウ部は「片頭痛以外の健康課題にも応用できる活動」であることに気づきました。
数ある健康課題の中でも、頭痛や腰痛、生理痛などの痛みやさまざまな不調は、ときに仕事に支障をきたすことがあります。
しかし、その痛みや不調は他人にみえないことから、周囲の人に理解してもらうことが難しく、結果的に一人でその辛さを抱えながら働いている人たちがいると彼女たちは考えました。
そのため、プロジェクトでは、症状が目にみえる骨折や喘息、支障への理解度の高いがんなどは含まず、これまで休暇やいたわりの対象となりにくかった、症状や支障の認知度が低い片頭痛などを対象としています。そして、当事者の痛みを理解してもらうのが難しい状況や症状を「みえない多様性」として定義しました。
定義づけの会議の中で、間宮は印象的な出来事があったといいます。
間宮「健康課題はみんな話したくないと思っていましたが、『今まで機会がなかったので話さなかっただけ。むしろ、話すことで楽になった』という声もあり、大きな思い込みをしていたと驚きました」