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社内報のWeb化でタイムリーな記事の提供と管理員のITリテラシー向上を

大和ライフネクスト株式会社 社内報アプリチーム
大和ライフネクスト株式会社で全社広報を担当する金坂 将史と事業部広報を担当する尾﨑 枝里は、紙媒体である社内報・事業部報に課題を感じていました。コロナ禍でWeb媒体の要望が増えたこともあり、社内報のWeb化を社内コンペで提案。タイムリーな記事の提供と管理員のITリテラシー向上につなげました。その取り組みを、二人が語ります。

旬な情報をわかりやすくタイムリーに届けたい。4つの「間」の問題を解決

▲大和ライフネクスト社内報アプリチームの尾﨑枝里(左)と金坂将史(右)

不動産管理を担う大和ライフネクストの従業員の多くは、管理建物に勤務している管理員で、60歳以上の社員が約8割を占めます。また、単独で勤務している管理員が多いため、円滑な情報共有やエンゲージメントを向上させるには、社内広報が非常に重要な役割を果たしています。

ところが社内広報は、大きな4つの「間」が原因となった問題を抱えていました。1つ目は、「時間」における間です。月に1度の頻度で発行する紙媒体の社内報・事業部報では、編集や発送の都合上、企画から納品まで約2カ月のタイムラグが発生します。タイムリーな記事を提供しづらい状況にありました。

2つ目は、「空間」における間です。2020年に本格化したコロナ禍で在宅勤務が増え、リモート勤務者は出社しなければ冊子を受け取れません。そのため、出社せずとも情報を受け取れるWeb媒体へのニーズが増加していました。

3つ目は、「人間同士」の間です。長引くコロナ禍で対面コミュニケーションが激減。これまで月に1回のペースで行ってきた対面集会もできなくなり、社内コミュニケーションの必要性が高まっているのを痛切に感じていました。多くの建物にはパソコンがなく、管理員との連絡手段は固定電話やFAX、社用の携帯電話です。しかし、せっかくの社用携帯として貸与されているスマートフォンも有効活用できておらず、ITリテラシーの底上げが急務でした。

4つ目は、「部署」における間です。社内広報誌は、全社員向け・所属事業部員向けにそれぞれ独自につくられており、3種類に分かれていました。分かれていることで、各事業部の知識は深まる一方で、他の部署の情報を得る機会がありませんでした。その上、情報共有がしにくく、同じ課題に対してそれぞれの課で別々に動いていたこともあり、部署を横断した相互理解を深める必要があると感じていました。

時間・空間・人間・部署間という、4つの「間」の問題に加え、紙媒体では記事ごとの閲覧状況がわからないため、企画のPDCAを回すことができません。

紙媒体で毎月発行している社内報・事業部報における、これらの課題をWeb化することによって解決できないものかと、私たちは考えました。

社内コンペで落選。全社ではなく、マンション事業部報のWeb化から再提案

▲真剣に作業するチームメンバー

全社広報チームと各事業部広報チームの間で行った打ち合わせの際に、それぞれが個別に企画・作成している紙媒体をWeb社内報に切り替え、アプリ化したいという意思を共有するに至ります。

そこで、Web化への影響度が強かった全社広報とマンション事業部広報の私たち二人が主導する形で、社内提案制度のコンペを利用して経営陣に提案しました。

しかし、管理員は高齢の方も多く、「紙媒体の方が読みやすいはずだ」という思いが強かったため、社内コンペの結果は残念ながら落選でした。

それでも、Web化の必要性を強く感じ、どうしても諦めきれなかった私たちは、上司を説得して部署を横断する形でのプロジェクトチームを立ち上げ、再び経営陣と掛け合いました。

まず全社向けの社内報は紙媒体の継続を決定。全社向けでは、共に働く仲間の活躍を紹介する記事など読み物や特集に特化し、マンション事業部報では現場の管理員の関心が高い内容を積極的に発信するよう、テーマの差別化を図りました。そして、管理員が多く在籍しているマンション事業部報からWeb化するという案で、経営陣に再び提案したのです。マンション事業部報で実績を上げてから、ゆくゆくは全てのWeb化を目指す戦略です。

導入の際には、アプリ制作会社を念入りにリサーチし、どのようなアプリの設計にするか慎重に検討。

アプリ化することで、従来よりもコストを抑えられる前提での提案でした。それに加えて、事業部報のWeb化プロジェクトに適したアプリ(ウィズワークス社)を、早い段階で見つけられたのが大きかったと思っています。

再提案は経営陣に承認され、2021年4月よりマンション事業部報としての運用開始に漕ぎつけました。

電話も活用!双方に痛みを伴いながらも、社内報アプリを浸透させる

▲社内企画の募集告知もアプリで実施できるように

社内報をWeb化するのは技術面、コスト面共にそう難しい話ではありません。問題は、管理員に、いかにスマホを触ってもらい、読んでもらうかです。

スマホからログインしてもらうために、広報マニュアルを作成。毎週2~3回のメール配信に加えてプッシュ通知を行うなど、スマホからアプリで事業部報を読んでもらうためのベースづくりに、数々の工夫を重ねました。

しかし、想定していた事態ではあったものの、正しくIDやパスワードを入力できない問題は、やはり一定数発生します。

そこで私たちは、そうした問い合わせにスムーズに対応すべく、あらかじめ「社内報アプリお問い合わせフォーム」を作成。自動返信機能などを活用し、できる限りの省人化を行いながら、運営メンバー間で問い合わせ対応をしていくことにしました。

デジタルの良いところは、共有が簡単なだけでなく、ログもたどれる点です。対応者が違っても、進捗の共有を図ることができ、管理員と運営がもう一度はじめからやり取りするような無駄も削減できました。

問い合わせフォームで解決できない管理員に対しては、アナログの電話対応を実施しました。半年間で600件以上の問い合わせに対応し、苦戦しながらも徐々に浸透させていきました。

正直なところ、双方が痛みを伴いながらやっている部分がありましたね。それでも、皆が少しずつ社内報アプリで見てくれるようになっていくのを励みにしながら、一時的な負担も一緒に乗り越え、チームで推進してきました。前向きなメンバーが多く、とても助かっています。

最近、問い合わせの際に、「社内報アプリに変わってどうですか?」という質問をしてみたところ、「画面が小さいけど、紙よりいい。後から何度も振り返ることができる。お昼休みに見ることもできる。社内報アプリのほうが断然いいです。いつも見てます」というコメントをもらい、メンバーみんなで喜びを分かち合いました。

社内報アプリの開始から6カ月経過した2021年9月末現在、対象となるマンション事業部門の管理員の約60%(3,500人以上)がアプリに登録済み、通知日には毎回600人以上がアクセスしてくれるようになりました。管理員のITリテラシーが向上し、通知が届いたら見るというアクションが浸透中です。

「社内広報を科学する」ことで企画のPDCAがスムーズに回転

▲大和ライフネクストで働いている喜びを全身で表現するチームメンバー

2021年10月現在、毎週3~5本のコンテンツを作成しています。毎月集計を行うことで、読まれやすい記事や時間帯の傾向の調査が可能となりました。念願だった企画のPDCAが、ようやくスムーズに回せるようになったのです。

たとえば、労災や個人情報、熱中症対策に関するコラムなど、運営側は普遍的で堅いと感じているテーマでも、管理員にとっては関心が高いものだとわかったのは大きな収穫でしたね。私たちは本当に、仕事に対して真摯な管理員の皆さんと働けているんだなぁと、しみじみ感じました。

コロナ禍で情報共有の機会が減少しました。しかし、事業部報のアプリ化によって、通常の記事配信以外にも社内企画の募集告知や、社長のトップメッセージ、事業部の担当役員からのショートメッセージを動画で伝えるなど、Webならではの強みを活かした企画も行えるようになった面もあります。

大げさな言い方になるかもしれませんが、「社内広報を科学する」感覚で取り組んできた成果だと感じています。今後は、全社の社内報や他の事業部報も巻き込み、働く環境による“広報格差”がない社内広報を目指していきます。

社内報や事業部報を通じて、大和ライフネクストで働いている喜びを感じてほしい。心からそう願うとともに、これからも現場の管理員一人ひとりのスキルアップへの思いに応えながら、関心の高いテーマに合わせて発信し、少しでも喜んでもらえるコンテンツづくりができるように励みたいと思います。