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WORKSTORYAWARD2021

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持続的かつ、高いパフォーマンスで働くために。「Well.U」で革新的な健康経営

株式会社USEN-NEXT HOLDINGS
コロナ禍で生活様式や働き方が激変し、心身の不調やストレスの増大、今後の生活への不安などを訴える社員が多くなりました。株式会社USEN-NEXT HOLDINGS コーポレート統括部 人事部長の西村 壽哉は、そんな状況に危機感を覚え、「なんとかしないといけない」と強く感じるようになります。社員やご家族の健康や幸福をサポートするため、革新的な制度を導入・推進した道のりを振り返ります。

心身とも健康に働くサポートを通して、生産性の高さと幸福を同時追求

▲長年にわたり人事部門の仕事に従事してきた株式会社USEN-NEXT HOLDINGS コーポレート統括部 人事部長 西村 壽哉

2020年に新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、2021年現在も続いています。USEN-NEXT GROUPは、そんな状況下で、コロナ禍の生活やリモートワークなどが要因かは断定できないものの、心身の不調やさまざまなつらさを訴える社員からの相談が増加傾向にありました。

長期休養や退職を余儀なくされるケースもあり、社員の健康や長期的な活躍を脅かす、重要な課題となってきたのです。

ただ、現状の制度では、そうした課題を解決することが難しいこともわかっていました。

それまでも働き方改革やキャリア支援制度に取り組んできましたが、仕事面のサポートや環境整備が優先され、生活面や健康面の環境整備には手が届いていませんでした。

さらに、既存の福利厚生制度や産業保健体制では、新しい生活様式やリモートワークを中心とした新しい働き方に対応できておらず、積極的・能動的な利用にいたっていなかったのです。

この状況をなんとかして打開しなければという思いが、私の中で日に日に強くなってくるのを感じていました。そんな中、本プロジェクトの責任者であり人事担当役員の住谷 猛から「健康経営について考えたい」という話が出ます。

社員やそのご家族の健康や幸福をサポートするための制度を導入・整備することは、長く人事部門の仕事に従事してきた自分の急務ではないか。

制度がうまく機能していない状況に対してそう考えた私はすぐに賛成し、プロジェクトを始動しました。

しかし、プログラムを検討する序盤の段階で、大きな壁にぶつかりました。

これまで私たちがリリースしてきた、さまざまな人事制度においては、革新的な制度・施策を実行し、常に”USEN-NEXT GROUPらしさ”を追求してきた歴史があります。

ところが、「健康経営」をテーマとしたときに、USEN-NEXT GROUPらしい健康経営とはどういったもので、どのような施策が適しているのか、そこに対する答えがなかなか見つからなかったのです。

当社の代表取締役社長CEOの宇野 康秀からも同様の指摘がありましたが、プロジェクト担当者はその問いに対し答えることができませんでした。

「USEN-NEXT GROUPらしさ」を追求する中でぶつかった壁

▲「USEN-NEXT GROUPらしい健康経営」をとことん追求

私たちは、USEN-NEXT GROUPらしい健康経営に対し、どのような施策が適しているのかについて考えた結果、2つの解にたどり着きました。

1つ目は、パフォーマンス高く働くための施策です。先行して実施していた働き方改革「Work Style Innovation」のテーマである、生産性ファーストの考え方からヒントを得ました。

キーワードは、「カッコよく、働こう。」です。カッコよく働くとは、心身ともに健全で働くことによって、生産性の高さを実現すること。ズバリ、成果を出すことです。

2つ目は、持続的に活躍し続けるための施策です。当社では、いつまでもパフォーマンス高く働ける方には、企業としてそれに報いていくべきであるという考えのもと、70歳まで正社員で雇用を継続できる制度を2019年9月より導入しています。そのため、年齢に関わらず長く働き続けることが可能です。

“年齢に関わらず持続的に成長・活躍し続ける”という、USEN-NEXT GROUPの社員のあり方や働くということ」についてのポリシー・企業風土からヒントを得ました。

こうして、プロジェクトでは単純に社員の健康支援施策を検討するのではなく、コロナ禍における新しい生活様式や働き方の中で、生産性高く持続的に活躍し続けるためには、どうすればよいのかという課題を設定。この課題をどのようにしてクリアするのかについて協議を重ね、プログラムの骨格・内容の検討を進めていきました。

議論には時間がかかり、苦労したこともありましたね。常に最善・最適を目指し、コンセプトやキーワードを1つずつ丁寧に考え、本当にそれでよいのか、USEN-NEXT GROUPのポリシーやワークスタイルに合った革新的な制度になっているのか。そして、この制度が社員やそのご家族の幸せにつながっているのかを、何度もキャッチボールしながら深く追求していきました。

このように進めた結果、単なる健康経営のための施策ではなく、USEN-NEXT GROUP独自の健康サポート・持続的活躍支援体制・施策の整備を目指すプログラムと位置づけ、“Sustainable Well-being Program 「Well.U」”と命名するにいたります。

「Well.U」のテーマは、よく知る・よくする・よく生きる

▲「Well.U」は、USEN-NEXT GROUPの宣言

2021年5月にリリースした「Well.U」は、社員の健康状態を可視化し改善することで、持続的に成長・活躍し続け、ご家族と共に幸福な生活を営み続けるための独自のプログラムです。

テーマは、「よく知る・よくする・よく生きる」。テーマを設定する上では、単なる「健康でいましょうね」という抽象的なメッセージをもとに考えてはいません。

むしろこのテーマは、フィジカルやメンタルのコンディションだけではなく、生産性を可視化するとともに、その低下の抑止・向上を支援し、ご家族とともに幸福な生活を続けていくというビジョンから生まれた、いわば私たちUSEN-NEXT GROUPの宣言です。

プログラムは、5つの要素から構成されています。

①Physical 社員の身体的な健康を支援する

②Mental 社員の精神的な健康を支援する

③Engagement 社員のモチベーション向上を支援する

④Benefit 社員とその家族の充実した生活を支援する

⑤Work Style 社員のイキイキとした働き方を支援する

さらには、それぞれの要素ごとに制度があり、制度を利用することでポイントが付与されます。ポイントは新たに制度を利用する際にも活用できるため、持続的な健康・幸福の増進につながります。

実際の利用状況としては、オンラインでの医療相談や産業医面談の実現など、すでに実装済みのメニューについては利用件数が増えてきました。そのほか、先進的な医療機関との提携による健診・人間ドック体制のリニューアル、また健診結果のデータベース化はほぼ実装できています。

社員からは「リモートワークであっても、すぐに相談しやすい環境ができてきた」という嬉しい声が届き、徐々に定着し始めているのを感じます。

これまでUSEN-NEXT GROUPでは、キャリアアップなど挑戦的な施策が多かったのですが、「Well.U」のような社員の安心・安全を追求する施策に対しても、ポジティブな反応が多く得られています。

また、当プログラムのリリースとたまたまタイミングが合っただけなのですが、2021年6月末に実施した新型コロナウイルスワクチンの職域接種は、早期に実施できました。社員本人はもとより、ご家族からも感謝の声が多く寄せられています。

誰もが安心して、思い切って働ける環境のために

▲「Well.U」のプログラムは、5つの要素から構成

コロナ禍といった変化が激しい時代においても、常に安心して挑戦し続けられるための環境を整え、新たに体制を構築し、選択肢を用意すること。それが、私たち人事に携わる社員の役割だと考えています。

USEN-NEXT GROUPがコーポレートスローガンに掲げる「必要とされる次へ。」の実現に向けて、持続的な健康と活躍を支援する「Well.U」は、”一人ひとりが必要とされる社員であり続けるための施策”であると意識して取り組んできました。

そうした取り組みに携わってきたこともあり、誰もが安心して、思い切って働ける環境が整っている企業だと自負しています。

持続的に成長し続けるためにも、その原動力となる社員が健全なコンディションで長く活躍できる環境を整備することは、非常に重要な経営課題と捉えています。会社と社員が共に成長し続けるために、サステナビリティ精神で独自の健康経営を推進中です。

リモートワークも含めた新しい働き方の中で、Afterコロナを見据えながら、これからも新しい制度・体制構築を実践し続けます。