「働く」を通じて、みんなを幸せに。自分らしい未来を選択できる社会を目指して
自らの経験から見えたフルリモートの可能性と実現

秋沢 「前職を辞めてニットを起業するまでの間に、会社員時代には叶わなかったアメリカ横断の旅に出ました。リフレッシュも兼ねた半年間にわたる放浪の旅でしたが、出発前に日本で仕事を手伝っていた複数の企業には、『海外でもパソコンをつないで仕事はやります』と伝えていました。
その時に、海外からもパソコン一つで仕事ができた経験から、“フルリモートで運営するオンラインアウトソーシング”の可能性が見えたんです」
そこから秋沢は、株式会社ニットを創業しました。そして誕生したのが「オンラインアウトソーシングサービス HELP YOU」です。
プライベートな理由で仕事を諦めることなく、自分らしい生き方・働き方ができる人を増やしたい。これは、秋沢が創業時から変わらず持ち続けてきた大切な想いです。またニットのビジョンでもある、“未来を自分で選択できる社会をつくる”にもつながります。
創業から7年が経った2021年には、日本全国、世界33カ国から、約400人がフルリモート×フリーランスで活動する組織へとニットは成長。コロナ禍以前よりこの業務形態であったニットは、令和3年の「総務省テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選出、同年にホワイト企業アワード【働きがい部門】選出、WOMAN's VALUE AWARD選出、Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021選出、「全国中小企業クラウド実践大賞2021」のモデル事例にも認定されました。
秋沢 「別の視点では、2018年をピークに今後は労働力人口が減少していくという推計があり、企業は働き手不足が課題になるといわれています。そして働き手側には、育児や介護、パートナーの転勤などさまざまな理由で、志がありながらも働けない課題があります。
そんなライフステージの変化に対応できずに、退職を余儀なくされる状況は、社会の負であると私たちは捉えています。そういった面でもフルリモートを前提に事業を推進することは、企業と働き手の両者の課題解決になると考えています」
「HELP YOU」がなくてはならない存在であるために

昨今、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が進んでいますが、すべてをオンラインに移行するのはたやすいことではありません。そうした中でニットは、仕組みづくりからアウトプットの作成まで一括で引き受けることで、企業のDX化推進やコスト削減、生産性向上、働き方改革などに貢献してきました。
顧客の中には、「HELP YOU」を導入したことでアウトソーシングの考えが根づき、そこから短納期のDX化案件に貢献したとして、ご担当者が社長賞を受賞されました。また「HELP YOU」メンバーがフルリモートで働いていることに影響を受けたご担当者が、会社初のテレワーク社員になり、会社の制度におけるパイオニアへとつながった事例もあります。
アウトソーシングの形態でありながら、「HELP YOU」メンバーを“外の人”ではなく、一緒に事業を推進する“パートナー”として捉えている企業もあります。それは「HELP YOU」チームとクライアントをつなぐ、ディレクターの存在が大きく、クライアント業務に提案型で関わっていく関係性が評価を得ているとニットは考えています。
また顧客を担当するチーム内では、業務効率化のディスカッションが積極的に行われ、顧客の組織図の中に「HELP YOU」が組み込まれることで、ニットはなくてはならないパートナーの地位を確立していると自負しています。
コロナ禍ではアウトソーシングサービスをストップさせる動きもあった中、必要なチームメンバーを繁忙期には増やしたり、閑散期にはグッと減らしたりと、ニットでは人員のアサインにも柔軟に対応。そのことが結果的に、「HELP YOU」を導入した企業の人件費の削減や社員の負担を軽減することにつながり、事業を共に創るパートナーとして、多くの顧客に継続利用いただいているのです。
世界中のメンバーをつなぐ、42個のオンラインコミュニティ

ニットは、世界中のメンバーがフルリモートで働きながらも、安定したサービスを顧客に提供しています。そして、それを可能にしているのがチーム体制のワークシェアリングです。
チーム内ではお互いをフォローし合いながら業務を遂行しています。円滑に進めるためにニットがしていることは、誰もが業務を遂行しやすい環境作りです。まず、すべての仕事においてマニュアルを作成。それだけでなく、過去の履歴を閲覧でき、気軽なやり取りのできるコミュニケーションツール「Chatwork」を利用したり、クラウドサービス「キントーン」で情報を蓄積・共有したりと、誰であっても業務を引き継げる体制を作り上げています。
たとえばチーム内で育児・介護といった突発的な事態が起こっても、フォローできる体制が整備されており、プライベートも大切にできる働き方を実現しています。
またニットでは、メンバーの声で作られた「オンラインコミュニティ」が社内に42個あります。フルリモートでメンバー同士のつながりが減ってしまう中、コミュニティを通じて仕事以外でも横のつながりを持つことができています。
コミュニティには、美容マニアのメンバーが主催する「眉毛の書き方講座」や、メンバーの子どもに向けた「海外在住メンバー家族との異文化交流」、そして、オンラインでのお花見、ペットの話、母親たちの会など、メンバーの趣味やスキルをシェアする実用的なものまであり、多種多様です。
秋沢 「中にはSNS運用やライティングのスキルを持っているメンバーが、その実践ノウハウを無料で公開する講座も実施してくれています。そういったコミュニティの関係性の中で、新たなビジネスや人脈が生まれて、それがまた会社の利益やメンバー個人へ還元できるというサイクルが生まれています。
ほとんどのコミュニティの立ち上げや企画は、私じゃなくてメンバー発信。私の想像を超えて、“仕事以外の接点を持ちたい”と自主的に始まったものなんです。フリーランス、とくに海外からのリモートワークだと孤独になりやすいので、仕事以外でもつながりがあるのは心強いと思います。
入社式では、本人に内緒でご家族や元職場の先輩に、ビデオメッセージをお願いするサプライズ演出をすることもあります。ご家族からも好評でして、オンラインであっても、どこかあたたかみや所属意識を感じてもらえる組織運営をニットは大切にしています。
また採用した社員の親御さんやパートナーに自ら会いに行き、当社の説明をしたこともあります。『うちはベンチャー企業でご心配なことと思いますが……』と。コロナ禍になり全員は行けていないのですが、遠くはエルサレムまで会いに行きました(笑)」
世界中の仲間と共働し、幸せを分かち合う大切さ

秋沢 「コロナ禍によって、海外や地方にいながらテレワークで働けるということが証明されました。昨今は”個人の時代”ともいわれ、今後さらにそれが加速していく中で、自分がどこに所属し、誰と仕事をして喜びを分かち合うのかが、もっと大事になってくると思っています。
ニットはテレワーク先駆者の総務大臣賞にも選んでいただきましたが、それは自分らしい働き方を選択する上で自由度が高く、選択の幅が広がるからであって、テレワークを推し進めようとしているわけではないんです。
個人の幸せな働き方が実現できたり、会社がもっと前に進むことができたりと、個人や企業が今よりも世の中の変化に柔軟に対応していけるように、ダイバーシティの最前線でやっていきたい、私はそう思っています」
“未来を自分で選択できる社会”が個々の幸せにつながると信じ、ニットはこれからも前進していきます。今いるメンバーも、そしてこれから仲間になるメンバーにも、ニットで働くことで幸せになってもらいたい。その想いが顧客、さらには社会にも広がっていくことをニットは願います。