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WorkStyle3.0──ZENKIGENがこれからの時代のはたらき方をつくる

株式会社ZENKIGEN NextWorkStyle推進室
感染症の拡大にともない、多くの企業でテレワークやフレックス制度の導入が行われましたが、業績や生産性が低下するケースも見られます。それらを解決すべく、働き方のブラッシュアップを続けるのが、株式会社ZENKIGEN(以下、ZENKIGEN)。その取り組みをリードする2名が語ります。

働き方のネクストスタンダードを追究するNextWorkStyle推進室

▲左:NextWorkStyle推進室 室長 保戸塚 勇/右:取締役 水野 宇広

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、世の中の働き方はオンラインへ大きくシフトしましたが、企業成長の鈍化や社員のパフォーマンス低下など、課題も多く生まれています。これらの課題を解決し、働き方のネクストスタンダードをつくるべく、NextWorkStyle推進室を発足させ、さまざまな取り組みを展開しているZENKIGEN。それらをリードしているのが、NextWorkStyle推進室 室長 保戸塚 勇です。

保戸塚 「当社のビジョンは『テクノロジーを通じて、人と企業が全機現(人が持てる力を余すことなく発揮できている状態)できる社会の創出に貢献する』ことです。人々が“全機現”できる状態をつくるためには、最適な勤務環境を提供する必要があります。感染症が拡大し始めたときに、社内外ともに働き方をブラッシュアップさせる必要があると判断し、NextWorkStyle推進室を発足させました」

ZENKIGENは、企業の採用力を強化するWEB面接サービス『harutaka』の提供など、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業です。そのため、NextWorkStyle推進室は、ZENKIGEN自らの働き方を追究するだけでなく、それらを発信することで、顧客や社会全体の働き方をリードすることもミッションに掲げています。

課題を科学し、解決を。テレワークから浮上した3つの課題とは?

▲コミュニケーション課題のリサーチに関する資料

保戸塚 「当社は、創業時からフルフレックスかつテレワーク可という働き方を導入していましたが、感染症の拡大にともない、2020年4月と5月は出社禁止としました。そのためオンラインのコミュニケーションが中心となりましたが、リモートワークを実施したことにより出てきた課題を『コミュニケーション』『心身の健康』『勤務環境』という3つに分類し、解決策を講じています」

ひとつ目の「コミュニケーション課題」に対する施策の中でも効果が出ているのが「オンライン面談の強化」です。テレワークにより対面での会話が減った分、週に一度労務担当とオンラインで面談を実施するほか、採用担当とは月に一度、取締役とは3カ月に一度面談することをスタンダードとしました。面談を担当している取締役の水野 宇広はいいます。

水野 「オンラインでの面談を行うようになり、家庭の有無、住んでいる部屋の間取りなど、それぞれの状況を知ることができました。それにより、普段のコミュニケーションでも、その方の発言の背景を想像できるようになったんです」

採用に関しては、出会いから選考、勤務開始までをすべてオンラインで完結させるケースが増えたため、選考参加者の組織理解をオフラインと同等のレベルにできるよう、フローを整えました。また、入社後は、オンライン環境でも社員同士の相互理解が深まるよう、チャット上でメンバー紹介のチャンネルを設置したり、業務的な関わりの薄いメンバーとの飲み会「横串会」を定期開催するなど、コミュニケーションのきっかけづくりを行ってきました。

ほかにも、毎週月曜に行っていた朝会をオンラインベースに。「朝会ブレイクアウトルーム」と命名し、週末の出来事や今週の意気込みなどを語り合う場を設定。これにより、オンラインでも仲間の笑顔を確認して1週間をスタートする習慣ができました。また、オンラインでの会議は席数の制限がないことを利用し、「となりのプロジェクト自由参加」をスタート。興味のある人は、担当外のプロジェクトの会議にも参加できるよう体制を整えました。

保戸塚 「オンラインだと雑談からのアイデアや偶発的なプロジェクトが生まれにくくなりますが、その状況を打破すべく、コミュニケーションが生まれやすい環境を意図的につくり出したんです。

これらの施策を実施するうちに、社内でコミュニケーション課題をリサーチするプロジェクトが有志で立ち上がりました。オンラインでのコミュニケーション課題を科学し、改善策を考えるという流れが社内で自然と生まれたんです」

「心身の健康が維持しにくい」という課題に対しても、さまざまな施策を実行しています。たとえば、静岡県の生産者と提携し、「ZENKIGEN農園」として野菜づくりをスタート。収穫した野菜はメンバーの各家庭に郵送するほか、オフィスに併設されているカフェへ提供し、ランチ会を開催しています。また、社員に向けた「ヘルシー弁当の提供」、平日16時から1時間の「強制休憩タイム」、希望者が受けられる「カウンセリング」などの整備も行ってきました。

「勤務環境」の最適化に関しては、デスクや椅子、サブモニタ、Wi-Fi機器、スポットライトなどの購入費用を補助する「在宅勤務支援制度」を実現。

社内体制の改革に最前線で関わってきた保戸塚は、こう続けます。

保戸塚 「コロナ禍により在宅勤務が増えましたが、自宅の勤務環境が整っていない社員も多かったと思います。在宅勤務支援制度は、既存のメンバーに加え、選考から入社までをすべてオンラインで行ったメンバーからも多く問い合わせをいただく制度で、ニーズの高さを感じています」

ふたつの成果。コロナ禍でも圧倒的な事業成長、社員のロイヤリティも向上

▲NextWorkStyle推進室のミーティング風景

コロナ禍により業績が低下する企業が多い中、ZENKIGENは、コロナ前と比較し問い合わせおよび商談数や受注数が飛躍的に増加し、自宅から出られない情勢下でも圧倒的な成果を残すことができました。

保戸塚 「当社はWEB面接サービスを提供しているので、コロナの影響で問い合わせが増えることは予測できました。しかし、そのチャンスを成果につなげられたのは、オフィスと変わらぬ環境整備をサポートし、社員の心身の健康を維持したことが大きかったと思っていますね。選考から勤務開始まですべてオンラインで行ったメンバーがスムーズにオンボードできたことも、リソース拡大という面で寄与しています」

ZENKIGENでは、正社員だけでなく、インターンシップに参加する学生の選考や勤務もすべてオンラインで行えるよう整備。結果、優秀な学生との接点を保ち、参加者の中から内定者を見い出すことができました。

また、施策を実施したことで、とくに子育て社員の満足度が高まっています。感染症の影響により、子どもを保育園や学校に預けられなくなったメンバーは、実家に帰省し、親御さんのサポートを受けながら仕事を継続することもありました。その際は、実家も在宅勤務支援制度の対象となります。また、親に感謝を伝えるための食事に関しても「親孝行手当」としてサポートを行った結果、会社へのロイヤリティが向上しました。

保戸塚 「社員からも働き方についての提案が増えています。『リモートにおいてこのようなサポートも追加したらどうだろう』『こんなコミュニケーション施策を実施したい』など、自らが組織をつくっているという当事者意識を持ち発言するメンバーが増えていますね」

“豊かにはたらける会社” を目指し、茅ヶ崎にサテライトオフィスを開設

▲ZENKIGENサザンビーチオフィス

働き方に関する施策のひとつとして、2020年12月には、神奈川県茅ヶ崎市にサテライトオフィスを開設。本社は大手町ですが、その環境とは対象的な茅ヶ崎にオフィスを構えることにより、社員がその日のスケジュールや気分で勤務環境を選択できるように意図しました。

保戸塚 「組織拡大につれて、大手町のオフィスを拡張しようと検討していたのですが、感染症の拡大にともない働き方が変わったことで、どこでも仕事できることが証明されました。そこで、大手町オフィスの拡張を取りやめ、程よい距離感で別の拠点を持つ、という方針に転換したんです。大手町はビジネス街なので、それとは異なる環境の、自然にあふれたスローな湘南エリアを選びました」

サテライトオフィスは、茅ヶ崎のサザンビーチという海水浴場の目の前に位置し、仕事の合間にランニングやサーフィン、釣りに出かけたり、地域の方を呼んで料理を振る舞ったりすることを想定し、オフィスの中にキッチンやシャワーが設置されています。“豊かにはたらける会社”を目指したいという想いがあるからこそ、このような設計を行いました。

水野 「私自身、2016年に東京から湘南エリアに移住したのですが、ここでの生活の豊かさを体感しています。大手町、湘南、自宅、いずれもそれぞれの良さがあり、その日の予定や気分で環境を選択できる。そんな豊かな働き方を実現したく、ZENKIGENサザンビーチオフィスを開設しました。湘南には、スローライフを楽しみながら都心の企業に通う優秀なビジネスマンも多く、コミュニティも多数存在しています。そのような場に積極的に参加し、湘南という場所を能動的に盛り上げ、地域の活性化に努めていきたいと考えているんです」

既存の概念に捉われず、働き方のネクストスタンダードをつくるZENKIGEN。今後も挑戦を続け、世の中の働き方をアップデートし続けます。