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アパレル業界でのキャリアを諦めない。在宅・パートナースタイリストという選択肢

株式会社DROBE
プロのスタイリストが自分専用に選んでくれた洋服が自宅に届き、気に入ったものだけ購入できる──そんな夢のようなサービスを提供する株式会社DROBE(ドローブ)。取締役・CMOの佐熊 陽平と、人事・広報の阿久澤 栄里子が「完全在宅勤務で業務を行うパートナースタイリスト制度」立ち上げの背景を語ります。

販売業にも、時間と場所にとらわれない「在宅勤務」という働き方を

▲社内の集合写真

ファッションに関する悩みを抱える女性を救うべく、パーソナルスタイリングサービスを開始したDROBE。2019年の創業からわずか2年弱で、登録会員数が45,000名を超えるサービスへと成長しました。

佐熊 「サービス開始の背景には、オンラインでスタイリングを提供できる機会をつくることで、ファッション業界をもう一度盛り上げていきたいという想いがありました」

店舗に足を運ばなくても、スタイリストが自分に似合う洋服を選んで自宅に届けてくれるやり方がお客様の心をつかみ、サービスは順調に成長しました。ただそこで課題となったのが、スタイリングスキルを持つスタイリストの確保でした。

阿久澤 「サービスの成長にともない、多くのスタイリストの方に参画していただく必要がありました。ただ当社はスタートアップなので、大人数を一気に採用することは難しく、他の方法を探ることにしました」

そして彼らは「ファッションや洋服が大好きでアパレル業界に就職した後、結婚や出産で退職せざるを得なくなった方々に、再度活躍していただく」という考えにいたります。

佐熊 「以前、百貨店でショップマネジメントをしていたとき、結婚や出産で優秀なスタッフがお店を辞めてしまうという課題に長年直面していました。販売業で働くにはお店に立って接客する必要があるので、ご主人の仕事の都合で地方に転勤になったり、小さいお子さんがいたりする方は続けることが難しかった。

それなら、時間や場所の制約を取り払い、働く人に合わせた完全在宅という働き方をつくれば、うまくマッチするのではないかと考えました」

早速、業務委託契約で在宅でのスタイリングを行うパートナースタイリスト制度を立ち上げ、フレキシブルに働ける体制ができたことで、現在は20代から50代まで、約40名のパートナースタイリストが活躍するまでになりました。

オンラインの接客ならではの強みを活かして

▲スタイリストさんたちの様子

オンラインでお客様とやり取りするパーソナルスタイリングという形態は、在宅で働くスタイリストさんにうまくフィットしていると佐熊はいいます。

佐熊 「当社では、直接お会いすることなく似合う洋服を提供するため、事前にお客様に体型や好みに関する70項目の質問に答えていただいています。その結果をもとに、AIがおすすめのスタイルを算出し、それを参考にしながらスタイリストが提案を考えます。そのため、お客様と顔を合わせなくても、一人ひとりに合った洋服の提案が可能なんです」

また購入後は、色やシルエットなどの満足度や、購入しなかった理由にいたるまでお客様からフィードバックをいただくので、それらのデータを活用できることもプラスに働いています。

阿久澤 「お客様からいただいたフィードバックをもとに、『スタイリングスキルの中でどこを伸ばしていけばより良くなるか』を、スタイリストさんとのオンライン面談で伝えるようにしています。店舗で販売するやり方ではこうしたデータに基づいた話はできなかったので、成長意欲のあるスタイリストさんにとっては『自分の課題が明確なのでわかりやすい』と、モチベーション向上につながっているようです」

自分で働く時間を決められるフレキシブルな働き方がモチベーションアップに

▲パーソナルスタイリストさんの自宅仕事スペース

当社では、Slackで密にコミュニケーションを取り、スタイリストさんがひとりで悩むことがないように工夫しています。

最初はSlackに馴染みのないスタイリストさんも、使っていくうちにすぐに慣れていくため、完全オンラインでのやり取りでも問題はないと阿久澤はいいます。

阿久澤 「スタイリストさんの中には、一度販売の仕事を諦めた後、事務的なスキルを身につけるために事務職で働いていた方も多いです。そういった方々はITツールを使ったやり取りにも慣れておられますね」

フレキシブルに働ける完全在宅型のパートナースタイリスト。出社する必要がなく、自分で仕事の時間をコントロールできる点も、スタイリストさんに喜ばれています。

佐熊 「毎週何件くらい案件を担当できるかを聞き、こちらで案件の振り分けをし、最終チェックの締め切り日を提示します。ですが、その後の細かいスケジュール管理は本人にお任せしているので、朝昼晩、いつ仕事をしてもらっても構いません」

阿久澤 「業務の一連の流れの中で、それらの工程をどんな風に進めるかもお任せしています。なので、最初の工程だけまとめて1日で終わらせたり、途中まで取り掛かってその後は保育園のお迎えの後に行うなど、自分の裁量で自由に仕事をしてもらうことができます」

店舗で働く場合は、一度出社するとお客様がいるいないに関わらずシフト時間に拘束されてしまいますが、在宅勤務の場合、「自分の状況に合わせて柔軟に時間の調整ができるのでとても働きやすい」という声が現場からも聞かれます。

完全在宅勤務のパートナースタイリスト。その働き方を広く知ってほしい

▲パートナースタイリストさんたちとオンラインでやり取りする様子

当社では、対面ですと数万円かかることもあるパーソナルスタイリングを、1回2,900円という価格でオンラインで提供しています。そして、ファッションに関する悩みを抱えるお客様から「プロに直接選んでもらえて嬉しい」という喜びの声が日々寄せられます。

中には、お手紙をくださるお客様もおられ、そういった声がスタイリストさんの大きなモチベーションになっています。

阿久澤 「お客様からは『パーソナルスタイリストさんに選んでもらった服を綺麗に着たいので、ダイエットをしました』『普段は黒しか着ないけれど、選んでもらったグリーンのスカートがとてもお気に入りです』など、嬉しいお言葉をたくさんいただいています。

また、一度パーソナルスタイリングを体験した方が、2回目以降も同じスタイリストを指名してくださるケースも多いので、スタイリストさんにとっては実際に会って接客しているのと同じくらいのやりがいがあります」

新型コロナウィルスの影響により、洋服をオンラインで購入するスタイルが広がりつつある今、「お店で洋服を購入するのと同等の価値をいかにお客様に提供できるか」、パートナースタイリストという存在はとても大きな役割を持ちます。

そして、この完全在宅勤務のパートナースタイリストという働き方をもっと広げていきたいと佐熊は話します。

佐熊 「今はまだ、完全在宅勤務でパーソナルスタイリストとして働くワークスタイルを知らない方が多いです。ただ、ファッション業界の再活性化を目指す当社としては、この働き方を世の中に広く伝え、新たなスタンダードにしていくこともミッションのひとつです。

これからも日々改善を重ねていきながら、これがスタイリストの働き方の選択肢のひとつとしてちゃんと認識してもらえるようにしていきたいです」

阿久澤 「スタイリストさんとお話ししていると、仕事以外の時間も洋服の雑誌を読んだり、スマホでトレンドを調べたりと、とにかく洋服に触れているのが好きという方が多いです。自分が好きなことを通して、困っている人を救えるから、自然体で働けてやりがいも大きい。これからも、自分の好きな仕事でどんどん輝いてもらいたいですね。

またスタイリストさんの中には、独立してフリーで活躍されている方や、個性豊かな方がたくさんいます。私たちも皆さんにもっと光を当てて発信していきたいと思っているので、DROBEのお仕事をきっかけに新たな展開につなげていただけたら嬉しいです」

結婚や出産によって販売業で働くことを諦めた多くの女性が、再び好きな仕事で輝くことで、ファッション業界を活性化させる──。

今後、完全在宅勤務のパーソナルスタイリストという選択肢の普及により、女性のチャンスはさらに広がっていくでしょう。