at Will Work

WORKSTORYAWARD2020

これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2020」の受賞ストーリー、
一次審査通過ストーリーを公開しています。

働き方は自分でつくる──会社全体でかなえる「自分のために働く」環境

株式会社mofmof
「会社のためではなく、自分のために働く」を価値観のひとつに掲げている株式会社mofmofは、その価値観を体現する数々の取り組みを行っています。技術に貪欲なエンジニアなど、それぞれが「自分のために働く」をかなえている様子を、自らも妊娠中に入社し「半育休」を経験した採用兼広報の高梨 杏奈がご紹介します。

もったいない!多様な働き方を認めているのに、活用されない現実

▲株式会社mofmof

株式会社mofmofは、従来の“会社や組織中心の仕事スタイル”ではなく、自分の時間をコントロールし“自分のために仕事をするスタイル”へ、時代が変容していくのではないかと考え、2015年の設立当初から、新しい働き方に積極的に取り組んできました。

たとえば、リモートワークを試験的に導入したり、時差勤務や時短勤務、副業OKにしたりと土台をつくってきました。

当社はソフトウェア開発事業などを行っているため、設立当初は、エンジニア経験があるメンバーを中心に組織を構成していました。さらに、業務委託で他の開発案件と掛け持ちしているフリーランスメンバーが複数在籍しており、経験や価値観の近いメンバーが多い状況でした。

そこから事業が拡大し、エンジニアだけでなく管理やマーケティングなど、非エンジニアメンバーが複数入社し、女性比率も向上。また、エンジニアの実務経験がないメンバーなど幅広く採用を始めたため、経験や価値観などが異なるメンバーが集まり、多様性が広がっていきました。

同時に、新しい働き方への理解や土台はあるものの、時差勤務を選ぶメンバーがそれほど多くなかったり、「産休・育休」を実際に取得した実績がなかったりと、認められているはずの多様な働き方が浸透しきれていない現実が浮き彫りになりました。

そんな中、当社で働き方への取り組みが広がるきっかけとなったのが、採用兼広報の高梨 杏奈の入社でした。

妊娠中に入社し、会社初の「半育休」という働き方にチャレンジ

▲子連れ合同テレワークに参加する高梨

高梨が入社したのは妊娠4カ月のとき。入社前の面談から「育休」の話をしていました。

高梨 「3月出産予定と早生まれなので、その年の4月に0歳で入園することはほぼ不可能でした。仕事はしたいけれど、年度途中で保育園の空きが出ないので、年度いっぱいの育休取得を検討していました」

そんな中、業務を引き継いでいたメンバーが緊急入院する出来事と、高梨の働きたいという希望が重なり、「半育休」という当社初の試みにチャレンジすることになりました。

高梨 「会社として半育休どころか育休の取得も前例がない、制度が整っていない中での取得でした。なので、育児休業給付金の都合と、『これぐらいなら働けるだろう』という自分の都合を加味して、自分で制度をつくりながら実施していきました。

やってみないとわからないことだらけで大変な部分はありましたが、子持ちのメンバーが多く、子連れで出勤することに対する理解など、環境面ではスムーズに半育休の導入ができ、とてもありがたかったです」

半育休中は、月10日以内の勤務。主にリモートワークを活用し、働き方の詳細や計画は取得者本人が決め、代表へ共有・承認を得るプロセスを取りました。

高梨 「子どもを連れてのオフィス出勤も許可されたので、2週に1回程度は子連れで出勤していました。半育休を活用することで、比較的早期に業務復帰でき、キャリアを断絶する期間を短くできたのが、すごく良かったです。

最初は子育てと仕事の両立に不安もありましたが、月10日と無理のない日数である上、子どもが一緒でも働ける環境だったので、難なく両立できました」

半育休の実施は、保育園に子どもを預けられないと仕事復帰できないという固定概念を払拭しただけでなく、「出産後でも働きたい」をかなえる、産後ママの新しい仕事スタイルを確立しました。

リモートでもコミュニケーションを!エンジニアの「アフ6パラダイス」

▲アフ6の時間で個人開発したメモアプリの共有では、熱いTechトークが展開

2020年春に流行した新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)も、当社の働き方を広げるひとつのきっかけとなりました。

高梨 「当社では、コロナと言われ出した早めの段階である、2020年2月中旬にフルリモートへ移行しました。早めに移行したこともあり、夏前にはコミュニケーション不足を感じるようになっていったんです。

当社は8割がエンジニアで、常に技術をブラッシュアップしたいという貪欲なメンバーが多いのが特徴です。今まではオフィスで、最近の気になる技術や、わからない技術の相談といった“Techトーク”がよく行われていました。それが、リモートだとオンラインツールにわざわざつながなければいけないので、自然と少なくなっていったんです。

また、新規事業に特化した受託開発を主軸事業としていることから、受託開発にアサインされるメンバーが多く、新しい技術を取り入れるという面で、会社として応えきれていない課題がありました」

コミュニケーションと新しい技術を磨ける環境、このふたつを解決するためにエンジニアから発案されたのが「アフ6パラダイス」です。18時から就業終了の18時45分までの45分間を、自分の業務以外の自己開発の時間に活用できる制度です。

18時になると、オンラインツール内にある目的別の部屋に入り、自身の開発を行っていきます。オンラインでつなぎながら行うことで、コロナ禍で希薄になりつつあった雑談からのTechトークや、技術的なコミュニケーションが活性化されました。

高梨 「アフ6で新しい技術を習得したメンバーが開発した書籍管理アプリは、社内でも利用しています。さらなる技術の習得や技術への興味が強まり、全体の士気が上がっているように感じますね。 また『18時までに業務を終わらせて好きな開発をしたい!』と、業務効率も向上しています」

“自分のために働く”をより活性化させる「ぴよぴよアップデート制度」

▲コロナによるリモートワーク時のオフィス

アフ6パラダイスと同時期に制度化されたのが「ぴよぴよアップデート制度」です。

高梨 「当社のバリューにあたる価値観のひとつに『会社のためではなく自分のために働く』とあります。以前から、自分の働き方を良くするための案を自由に言える環境があったのですが、それを制度化しようとなったんです」

誰もが新制度や新ルールの立ち上げや導入に関わっていいことを明示した、この制度。発案すると、代表取締役の原田 敦を中心とした数名から合意を得た後、提案者が原案をまとめ、実施するというフローです。さらに実施後、1〜2カ月ほどで検証し、ブラッシュアップをしていきます。

高梨 「ぴよぴよアップデート制度により、今までは保育園の送り迎えなど理由があるメンバーのみが時差勤務を行っていたのですが、曜日指定のカジュアルな時差勤務が可能になりました。

これにより、家族との兼ね合いなどで終業後に学習や個人開発の時間を確保しづらかったメンバーが、勤務時間を朝早めにずらし、時間を確保しやすくなっています」

それ以外にも、コロナ禍での新入社員へのフォローが必要だと発案されたものや、開発環境を整えるためのものなど、導入して間もない中でも複数の提案がされ、新制度として採用されています。

高梨 「社員自ら自分の働き方を考え決めていく、まさに『会社のためでなく、自分のために働く』という考えに直結する制度です。また、提案者が責任を持って遂行していくので、提案者の当事者意識がより高まっています。

自分のために働く上で嬉しいだけでなく、会社にとってプラスになることは何かという視点も追加され、会社とメンバーのお互いがwin-winな状態になりつつあります」

エンジニアが働きやすい環境をより追求していきたいと、2021年には個人開発アワードを立ち上げる予定です。

これからも「会社のためでなく、自分のために働く」ために、技術を磨きたいメンバーはチャレンジでき、子育てや家庭の時間が大切なメンバーは時間の融通が利く制度など、メンバーの数だけ存在する「自分のために働く」を、その都度アップデートしていきます。