お料理倶楽部を通して、「従業者はちゃんと『食』や『健康』に興味を持っている」とさらなる確信を得た豊田と鍵和田。
しかし、会社が創業60年を迎えるタイミングで新型コロナウイルス感染症が世界を襲いました。
豊田 「新型コロナウイルス感染症の影響で、ものづくりや物流の現場を除き、一気にテレワークが推進されました。しかし私は総務課です。宅配便や郵便といった仕事はなくなりません。緊急事態宣言の期間も最小の人数で業務をこなしていましたが次第に疲れ果て、買い物に行く気力もなくなり、ろくに食事も摂れず、心身のバランスを崩してしまったんです」
それを見かねた鍵和田が、週に1回の出社時に手づくりの「ミールキット」を手渡してくれるようになりました。そしてそれを食べて、心と体の状態が回復していった豊田は確信を深めました──。
「美味しいものをしっかり食べることで、心と体は回復する。やっぱり「食」は仕事や生活の質とパフォーマンスを上げる」。
また、時を同じくして会社から「健康経営」を具体化し、推進するよう指示を受けます。
豊田 「これまで非公式でやっていたいろいろな活動を、公式にすることができる。そこで、ずっと前からやりたいと思っていた『社員食堂の充実』にも乗り出すことを決めました。やるからには、フジッコの持ち味をしっかりとブレンドして、あの有名な会社の社員食堂を超えたい!と。
そして、10月からは、毎月第4金曜日を『おいしさ×けんこうの日』と定め、まずは本社社員食堂で『おいしさ×けんこう食堂』をオープンしました」
鍵和田が提案したメニューを、安価でおいしく提供するスタイルのその食堂には、第1回目から普段の約1.5倍の利用者が訪れました。テレワーク下においてもその人気は変わっていません。
今では次のメニューは何だろうと、この食堂を心待ちにしてくれている従業者も増え、豊田と鍵和田は確かな手応えを感じています。