HRBP CRUNCHの発起人である坪井は、新卒で組織人事コンサルティングファームに入社し、クライアント企業の組織課題の解決に多く取り組みました。その後、IT系の事業会社へ転職し、新規事業企画に携わったのちに、組織力の強化をミッションとした「組織づくり」の業務に従事。そこで、HRBPという役割の立ち上げを経験します。
キャリアにおいて「事業づくり」と「組織づくり」両方のおもしろさを体感した坪井は、企業の経営や事業に資する戦略人事としての働き方に可能性を感じ、2018年にDeNAへ入社しました。
坪井 「DeNAがHRBPに関して先進的な取り組みをしていると感じて入社を決めました。よりHRBPの経験を深め、さらにHRBPの世界観を世の中へ発信していきたいと考えていたんです」
DeNAは2014年からHRBPの概念を取り入れ、HRBPを「戦略人事を実践するHRゼネラリスト」と定義しています。人材の採用や評価、マネジメント強化、チームビルディングなどの人事施策はもちろんのこと、事業や組織を前進させるための“リーダーの壁打ち役”としての機能も持たせ、人事と経営をつなぐ働きをします。
坪井 「中長期的な事業戦略から組織戦略、採用や育成のデザインにいたるまで、事業や組織のリーダーと話し合いながら『事業を成功させるために、人事として何ができるか』を常に考え、提案・実行する。『人を通じてコトを成す』のがHRBPのミッションです」
最近の仕事の例をあげると、コロナによってリモートワークが当たり前になり、コミュニケーションの幅が狭まることで得られる情報が少なくなってしまうという課題への対応。特にお互いが何を感じているかの「感情」にフォーカスをあてた対話の場の重要性が高まっており、HRBPがミッションやビジョンづくり、チームビルディングといった対話が必要になる場でファシリテーターとなり、事業や組織に貢献するシーンが増えています。
HRBPのミッションや仕事内容を聞くと、非常にハードルの高い課題解決を求められるように感じる方もいるかもしれません。しかし、DeNAでは「HRBPスクラム」という手法を取り入れ、チームとして戦略人事を実践しているため、すべてをひとりのHRBPで解決する必要はないのです。
HRBPスクラムとは、ソフトウェア開発の手法であるスクラム開発を組織開発に適応したもの。隔週ごとに2時間のセレモニー(レビュー・振り返り・プランニング)と、毎日30分のデイリースクラム(OKRや業務の進捗共有)を実施し、HRBP同士で意見交換をします。
坪井 「経営や人事は答えが決まっているものではありません。それゆえ、チームメンバーそれぞれの角度からの複眼によって、ビジネス貢献につながる成果の最大化を目指しています」