構想からわずか3カ月、2019年2⽉にプロジェクトが発⾜し、全国から課題を持つ7地域が公募で決定しました。
初年度は約35名の社員が参加。地域に入る前に「地域でのお作法」、「システム思考」などフィールドで必要になる最低限の知識習得を目的として事前研修を実施、5月からは実際に地域での視察・フィールドワークを開始しました。
視察では、⾃治体が抱える課題や可能性について現地の担当職員からヒアリングを実施します。事前に調査をしていた公開データと現地職員や住民の皆さまが感じている課題感をすり合わせ、課題解決に向けてどのような方向へ進むべきなのか、イメージをふくらませます。
徐々に地域の中に足を踏み込んでいく社員たち。しかし、東京から来た見知らぬビジネスパーソンたちをすぐに受け入れられる地域ばかりではありませんでした。
種畑 「高価なシステムを導入したがあまり活用されていないというケースが多く、システム導入企業に対して良い印象を持たれていない、という話はよく耳にしています。東京のビジネスパーソンが急に来てすっと受け入れてもらえないのも当然のことです。
『何か売りにきたんだろ!自分たちの手弁当で人の課題を解決するなんてそんな企業あるわけないだろ!』と、初めはすぐには理解してもらえませんでした。
しかし、私たちにとってこれは人材投資であること、社会課題を解決したいという想いがあることを丁寧に説明し続けました。その甲斐あって、徐々に地域の方々にも理解していただくことができたと感じています」
参加者が自ら一次情報を得るという体験を通じ、語られた言葉を記事にすることも重要な作業のひとつです。テキストデータ化された情報は毎年蓄積されていき、非常に貴重な情報となります。普段の業務ではクライアントの先にいるエンドユーザーの声を聞く機会が少ないため、エンジニア社員にとっては貴重な体験となりました。
種畑 「各地域に入って課題を住民と一緒に解決していくには、移り変わる気持ちの変化に寄り添うことも大切です。多くの横文字が飛び交うビジネスパーソン同士の仕事では、どうしても効率的に直線的に物事を解決しようとしてしまいます。しかしそれは、多くの住民の想いが複雑に絡み合う地域課題には通用しません。
そのため、住民への取材は今回のプログラムにおいて一番大事にしていたポイントのひとつでした。事前研修で習得した“システム思考“を体感する事ができる一幕でもあります。地域に根付いている文化を含め、課題を取り巻く社会構造を理解し、住民の皆さまが変化を受入れる心の準備にかかる時間も意識したコミュニケーションの重要性を体感できました」