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デジタルツールでコミュニケーション改善!シニア世代活躍の秘訣は、やりがいにあり

ビレッジハウス・マネジメント株式会社
定年退職後も生きがいを求め、働く意志を持つシニア世代は多くいます。しかし、日本にはシニア世代が活躍できる場が少ないのが現状です。そんな中、ビレッジハウス・マネジメント株式会社では500名以上のシニア社員が活躍しています。その挑戦の全容を九州支社長の木庭 弘憲とコミュニケーション本部長の平田 陽一が語ります。

シニア世代の管理人を一斉に社員雇用。重要なのは、その目的を伝えること

▲セカンドキャリアとしてイキイキと働く管理人たち 

ビレッジハウス・マネジメント株式会社は全国で賃貸管理を行う不動産管理会社です。2017年に国から公共住宅10万戸以上の物件を取得。「ビレッジハウス」としてリブランディングし、新たな事業として展開しました。

取扱物件数が急激に増加し、組織の人数も増え、全社で同じベクトルを向くことが難しくなっていました。中でも、現場の最前線で働く管理人とのコミュニケーションは、ひとつの課題でした。

平田 「住宅の管理業務は、国が運営していたころから別会社に委託しており、物件を引き継いだ後も、委託会社を挟んで管理人とのコミュニケーションを行っていました。そのため、ビレッジハウスの管理人としての当事者意識が生まれにくい、業務がスムーズに進まないなどの課題が生じていました。

しかし、2018年に委託会社が管理業務事業を撤退し、社内で管理体制を内製化することに。組織体制を構築していく中で、管理人を直接ビレッジハウス・マネジメントの社員として雇用することにしました。そこで、まずは九州支社に管理人内製化プロジェクトチームを立ち上げ、試験的に九州で管理人の雇用切り替えを始めました。

管理人の多くは60歳以上のシニア世代で、定年退職後のセカンドキャリアとして働いています。目的を持って働くことを望んでいる彼らにとって、ビレッジハウス事業への理解を得ること、社員雇用の目的を丁寧に伝えることはとても重要でした。

CEOが自ら管理事務所に出向くなど、対面で積極的にコミュニケーションをする機会を設け、『私たちの仲間として一緒にビレッジハウスのリブランディングに取り組んでほしい』という想いを伝え続けました」

その後も、社員が管理事務所を定期的に訪問。事業や理念について理解を得られるまで、繰り返しコミュニケーションを取り続けたのです。こうした丁寧なコミュニケーションの結果、九州支社ではほとんどの管理人の社員雇用に成功し、約50名の雇用を創出できました。

そこで次の課題となったのは、シニア世代の管理人が「働きやすく、仕事により働きがいが生まれる」ように業務の効率化を進めることでした。

シニア世代でも!デジタルツール導入でコミュニケーション量は大幅アップ!

▲日々のコミュニケーションはスマートフォンで

デジタル推進による業務改善を行うため、まず全管理人にスマートフォンを支給。それまで支社の社員と管理人のコミュニケーションは電話や対面が一般的でしたが、これを機に、より気軽なやり取りができるよう、デジタルツールを導入しました。

しかし、デジタルツールを使い慣れていないシニア世代にとって、スマートフォンを使いこなすのは至難の業。そのため、オリジナルマニュアルを作成し、こまめに研修をするなど、うまく使えるようになるまで丁寧にフォローしていきました。

木庭 「管理人の多くはスマートフォンを使うことが初体験で、私生活でもほとんどの人がガラケーを使っていました。そのため使い方が覚えられなくて諦めてしまうなど、一筋縄ではいきませんでした。『使いこなせると、お孫さんともLINEできたり、ビデオ通話したり、楽しいことができますよ!まずは触ってみましょう!』と興味を持ってもらうところから始め、徐々に使い方を覚えてもらいました。

『使ってみたかったけれど、きっかけがなかった』と、もともとスマートフォンに興味を持っていた方も多く、デジタルツール導入は思っていたよりもポジティブに受け入れられました。仕事でスマートフォンを使いこなすようになってからは、プライベートでもガラケーを卒業した方がたくさんいたようです」

ビデオ会議ツールも導入され、週1回の定期オンライン会議が開催されるように。対面で月1回会議を行っていたときに比べて、コミュニケーションの時間は大幅に増えました。活発な質疑応答や意見交換が日常的に行われるようになり、管理人の当事者意識も芽生えていったのです。

平田 「国が運営していた公共事業だったこともあり、それまではどちらかというと受動的な仕事で、現場からの報告も書類がベースでした。しかし、今では現場から直接支社長に声をあげられたり、毎週の会議で意見を伝えられたりする環境があります。管理人が感じていたコミュニケーションのストレスも低減できたのではないかと思います」

デジタルツール導入によりシニア世代がビレッジハウス・マネジメントの顔に

▲ビデオ会議ツールで週1回オンライン会議をしています

デジタルツール導入により、今まで紙や電話で行っていた報告業務の50%以上が削減できました。業務が削減された分、今まで以上に物件を回れるようになったことから、入居者とコミュニケーションが深くなり、美化向上やサービス向上にもつながっています。その結果、入居者からの感謝の声も増えました。

平田 「シニア世代の多くは、セカンドキャリアに社会とのつながりや働きがいを求めています。そのため、入居者の方からの感謝の言葉は、管理人の方たちにとってモチベーションになっていると思います。

また、一つひとつの業務の目的を明確に伝えて依頼することで、今まではやらなければいけない“作業”と感じていた業務も、目的を理解し、誰かの役に立つ“仕事”として捉えられるようになりました」

九州支社でのトライアル結果を受け、全国の残りの6支社でもプロジェクトを展開。2020年4月には、全国の管理人の社員雇用に成功しました。気づけばシニア世代社員はビレッジハウス・マネジメントの顔になっています。

管理人の中には、「身体が丈夫な限り働きたい」と生涯現役で働く意志を持っている人も多くいます。そのため、社用車をセーフティサポート機能車に切り替えたり、シニア世代向けの研修制度を新設したりと、シニア世代の従業員がより働きやすい環境も急ピッチで整えられていきました。

シニア世代の働き続けられる場に──ビレッジハウス・マネジメントの挑戦

▲業務削減により物件に出向く回数も増え、入居者とのコミュニケーションがより深まっています

社員雇用に切り替えた管理人に加え、新たに管理人募集を実施した結果、2020年10月時点で、約550名のシニア世代の社員が活躍しています。定年退職後に出身地へ戻り、管理人として第二の人生をスタートしている人もいます。

木庭 「シニア世代の管理人の中でもともと不動産で働いていた方は少なく、前職は異業種で働いていた方がほとんどです。そのため、私たちが見えない部分に気づいて意見をくれますし、毎週の会議でも新しいアイデアを提案してくれます。当社にとって、シニア世代の管理人の方々は新しい風を吹かせてくれる存在です。

今後も、好奇心を持って積極的にチャレンジする多くの方々が生きがいを持ち、モチベーション高く働ける環境をつくっていきたいと思います」

シニア世代の活躍の場と働きがいを生み出すことは、これからの高齢化社会が進む日本においてとても重要です。シニア世代の働く場所を生み出したビレッジハウス・マネジメントは、今後もシニア雇用のフロントランナーとして、シニア世代の活躍の場を広げていきます。